「團十郎襲名披露」なぜチケットの売れ行きが不調? 勸玄くん人気に陰り、「商標登録」トラブルも

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懲りずに文字商標を出願

 その審決は大要、以下のようなものである。

〈請求人(株式会社成田屋)が専有しているのは、荒事と言われる荒々しい誇張した演出様式であり、演目については興行を専有できるとは確認できない〉

 つまり、他の役者も取り組んでいるこれらの演目は、成田屋だけのものにできないというわけだ。しかし、これに懲りず團十郎サイドはこの9月に「市川宗家」「市川流宗家」という文字商標を出願している。

「登録されれば、成田屋は『市川宗家』という文字の商標権者になり、他者にマークなどで勝手に使われる商標侵害を防ぐことができます。ほかにも企業などがそれを使用する場合にライセンス料を取ることも可能になります」(商標権に詳しい弁護士)

母親が取締役に復帰

 かくも商魂たくましい團十郎。その成田屋にも大きな変化が。

 株式会社成田屋は1991年に設立され、父である先代團十郎が長く代表取締役を務めてきた。13年に先代が亡くなると、その妻で團十郎の実母である希実子さんが継ぐも、15年に團十郎が就任。入れ替わるように希実子さんは役員を辞任し、その後は母不在の状態が続いてきた。さらに、

「昨年3月には東京目黒区にある團十郎さんの実家の土地が売却され、建物もその年の6月に解体されました。19億円といわれる先代からの借金を清算するためとされましたが、この実家は先代が大事にしていたといい、一連の売却について希実子さんは了承していなかった。その後、團十郎さんとの確執がささやかれていました」(先の記者)

 にもかかわらず、成田屋の登記簿を確認すると、今年の8月に取締役として希実子さんが復帰しているのだ。これはどういうことなのか。

 芸能レポーターの石川敏男氏が言う。

「妻の麻央さんがご健在であれば、違ったのでしょうけども、やはりひいき筋に対してきちんと応対できるのは女将(おかみ)さんしかいないということでしょう。團十郎さんのマネージャーにあたる番頭さんでは、そこまではできない。長年、成田屋を支え、先代からタニマチとの関係を維持してきた女将さんにお願いするしかないのです」

並大抵のものではない重圧

 先代の襲名披露では3カ月公演で“30億円興行“ともいわれた。今回も本人の感じる重圧は並大抵のものではあるまい。

 希実子さんの“復帰“について、市川團十郎事務所は、

「弊社(成田屋)では、後援会事業をより一層充実させていくために、堀越希実子の豊富な経験を生かすことといたしました。そのため、この度、再度役員に就任することと相成りました」

 襲名しても、実母にすがる不安だらけの大一番。「荒事」の勢いで突破せんとする團十郎は「花道」を悠々と歩けるか。その行方は未だ見通せない。

週刊新潮 2022年11月10日号掲載

特集「『型破り』ではなく『形無し』チケット即売ならず 『團十郎』襲名披露の暗雲」」より

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