中国「習近平」政権“瓦解”のサイン 権力基盤の脆さを露呈した「胡錦涛」途中退場の真相

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習近平と胡錦涛「本当の関係」

 中国メディアは今回の件を「体調不良が原因」としているが、胡氏に健康不安説が浮上していたのは事実という。

「昨年7月に北京の天安門広場で行われた共産党結党100周年記念式典に胡氏も出席しましたが、付き添いを必要とし、手が激しく震える場面なども目撃されています。パーキンソン病やアルツハイマーを疑う声は以前からありました」(前出・外信部デスク)

 ただし“たとえ病気だったとしても、前総書記にあんな仕打ちをするはずはない”といった声も根強い。

「胡錦涛氏までの総書記はすべて鄧小平が指名することで正統性が担保されてきましたが、習総書記は各勢力の“妥協点”として総書記に選ばれた経緯があります。そんな習氏にとって胡氏はあくまで前任の最高指導者に過ぎず、自分を引き上げてくれた恩人でも、無条件の忠誠を誓った相手でもありません。党大会という5年に一度の最も重要な会議で議事進行の妨げとなるなら“丁重にお引き取りを願う”のも厭わない――そんな関係性にあります」(田代氏)

 田代氏が続ける。

「一部で“胡氏を見せしめとして退席させた”との説が流布していますが、自分の権威を誇示するのが目的なら、最初から胡氏を党大会の雛壇に座らせないほうがインパクトがありました。今回の退席ハプニングで、3期目の門出を祝うはずだった大会に“傷”が付いた格好になり、習総書記ら新指導部にとっては“大失態”だったと考えるほうが自然です」

ライバルが公然と“反旗”のポーズ

 実は田代氏が胡氏の退席よりも驚いたのは、映像の最後に映る「次の首相候補」との呼び声が高かった胡春華・副首相の姿だったという。

「胡春華氏は16歳で北京大学に入学し、20歳で総代として卒業した“超”の付く秀才。胡錦涛氏や李克強氏と同じく、党のエリート養成機関・共産主義青年団のトップを務め、すこし前まで“次の総書記の大本命”と目された人物です。その彼が今回、ヒラの中央委員に降格されてしまった。どのメディアも指摘していませんが、胡氏が会場をあとにする間際に映る胡春華氏は口を真一文字に結び、憮然とした表情で腕組みしています。党の最も重要な行事である党大会の雛壇でこんな態度を示すのは前代未聞。無言の“抗議のポーズ”ではないかと受け止められています」(田代氏)

 ライバルが公然と“反旗を翻す”様子が世界に流れ、「波乱の船出」の印象を強める結果となった今回の党大会。つねに権力闘争を繰り返してきた中国共産党の歴史において「絶対安定」が実現したことはなく、退席騒動もまた、習近平の前途が多難に満ちたものであることを示唆している。

デイリー新潮編集部

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