昭和レトロの「うどん自販機」が人気 製造元の製鉄会社が明かした“意外な開発動機”

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レトロ自販機を修理する男

 製造元が修理もできないから、この先、レトロ自販機は消えるしかない……はずなのだが、その自販機を続々と増やしているのが、神奈川県相模原市にある中古のタイヤとホイールの販売店・中古タイヤ市場だ。店舗の側に、レトロ自販機が100台以上並ぶ。社長の齋藤辰洋氏に聞いた。

「自販機を置き始めたのは6年前。タイヤ交換の時にお客さんは待たされるし、もちろん車にも乗れない。うちの近所にはコンビニもないから、時間つぶしにと思って、ビン入りコーラやうどん、ポップコーンなどの自販機を置いてみたら好評で、それで増えていったんだよ」(齋藤氏=以下同)

 それがあれよあれよと100台以上に。

「今は105台……106台だったかな。かき氷も味噌汁の自販機だってあるよ。最初のうちはネットオークションで自販機を買ったりしていたんだけど、そのうち業者やお店から引き取ってくれないかと声がかかるようになったんです。何十年も働いた自販機だから愛着だってあるでしょうから」

 とはいえ、修理してくれる業者はいない。

「対応してくれるところがないなら、自分でやるしかないでしょ。何とか残したいからね。うちにあるシャープ製のうどん自販機も、自分で直したんだよ。これは日本でうちにしかないようだよ」

 シャープも製造していたのか。

「そう、うどん自販機は、川鉄と富士電機、そしてシャープの3社で、それぞれ違うんですよ。湯切りの時、川鉄はどんぶりを傾けるけど、富士電機は回転させて遠心力で湯を飛ばす。シャープはその両方を取ったような感じで、まずどんぶりをゆっくり回して、それから傾ける。シャープ製はソフトな湯切りだから、山菜うどんもできるんだ」

 腕を買われて、余所のレトロ自販機の修理に出向くこともあるという。レトロ自販機は、このような手を借りて生き残っているようだ。

デイリー新潮編集部

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