昭和レトロの「うどん自販機」が人気 製造元の製鉄会社が明かした“意外な開発動機”

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JFEアドバンテックに聞く

 川鉄計量器とは、川崎重工の製鋼部門が独立した川崎製鉄から計量器工場を分離した会社で、現在の社名はJFEアドバンテック(兵庫県西宮市)である。同社に聞いた。

「私どもはもともとが川崎製鉄でした。ご存知のように製鉄所は、24時間365日稼働しています。現場の従業員たちが夜や冬に温かいものが食べられるよう開発したのが“川鉄のめん類自動販売機”でした。それを市販したもので、72年から80年まで約9000台が製造されたそうです」(JFEアドバンテック=以下同)

 いわば社員の福利厚生の一環として製造されたわけだ。富士電機よりも多く製造されていたことになるが、現在はどのくらい残っているのだろう。

「全く不明です。当時の資料や技術者もおりませんので、修理にお応えすることもできません」

 NHKが取材するのは富士電機製のものばかりだが、そこに不満はないのだろうか。

「弊社が製造を終了した80年以降、商圏は富士電機さんにお譲りしたと聞いています。今もうどん自販機があるのは、富士電機さんのおかげと言っていいでしょう。不満などおこがましいですよ」

 最新型のうどん自販機を作る計画などないのだろうか。

「全くありません。今の事業とは関係もありませんから、一から始めなくてはいけませんからね。それにレトロ自販機は、古いからウケているんだと思います。新しくては喜んでいただけないと思いますよ」

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