津山・9歳女児殺害事件 無期懲役判決の決め手は、勝田被告が「『TVのチカラ』を観て創作」と語った「自白」の迫真性

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 18年前に岡山県津山市で、当時9歳の女児を殺害したとして殺人罪などに問われている勝田州彦被告(43)。その控訴審判決が9月28日に広島高裁岡山支部で開かれ、片山隆夫裁判長(代読・柴田厚司裁判官)は、一審判決の無期懲役を支持し、被告側の控訴を棄却した。勝田被告は無罪を主張しており即日上告している。この裁判で終始、争われ続けたのは、被告本人による「自白」の信用性だった。【高橋ユキ/ノンフィクションライター】

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 事件が起きたのは2004年9月――。津山市内に住む当時小学3年生のAさんが、下校後に自宅で何者かに刺されて死亡した。岡山県警は殺人事件として捜査を開始したものの、その後、長きに亘って容疑者特定には至らなかった。そして、捜査の手を県外にも広げるため兵庫県警に協力を求めたところ、2017年になって「女児に犯罪を繰り返す人物」として勝田被告の存在が浮上したのだ(一審・検察側冒頭陳述より)。

 結果、勝田被告は事件発生から14年後の2018年5月に逮捕されたが、当時、彼の身柄は刑務所の中にあった。兵庫県内で女子中学生をナイフで刺したことによる殺人未遂罪で懲役10年の判決が確定し、服役していたからだ。

 しかも、勝田にはそれ以前にも同種の前科があった。2000年には10歳前後の少女数名に対して暴行と強制わいせつ事件を起こし、保護観察付きの執行猶予判決を受けている。2010年には少女の腹部を殴ったり、ドライバーで突くなどする傷害や暴行事件を起こして懲役4年の判決を下された。「女児に犯罪を繰り返す人物」として勝田被告の存在が浮上したのはこうした過去があったためである。

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