「犯罪癖は治らない」は本当か? 茨城女子大生殺人の容疑者も再犯だった

社会2019年2月22日掲載

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 茨城県神栖市の空き地で女子大生の遺体が見つかった事件で逮捕された廣瀬晃一容疑者(35)。実は廣瀬容疑者には性犯罪などで2度の検挙歴があり、一昨年4月に逮捕された児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑では有罪判決を受けているという。

 事件マニアの間では、無責任に激論が交わされている犯罪界の「再犯」事情。この世で罪を犯した者は、法廷で裁かれ刑に服す。そこでの生活ぶりはここでは省くが、いずれにしても刑務所とは二度と戻りたくない場所のはず。ところが、再び愚行に手を染めてしまう輩が何とも多い。すなわちそれは「癖(へき)」であり、「病」だから治らない…というわけだ。

 全国70余の刑務所から、年間にして概ね2万人以上の受刑者が出て来ている。例えば2017年は、「満期」プラス「仮釈放」で、都合21,636人が塀のこちらの世界に返り咲き。一方で11,325人の前科者が獄にリターンしている。半数以上が、「再入者」として塀の向こうに舞い戻っているのだ。

 ちなみに、「強制わいせつ・同致死傷」、「強制性交等・同致死傷」2種の受刑者計144人の「マエ(前科)」を辿ってみると、実に51人が同種の罪を過去に犯していたのだった。すなわち35%がまったく同じ過ちを犯している(ちなみに10年前の統計では209人に対し79人=38%)。
 さらに「殺人」を見てみると、26人が「再入所」、少なくともそのうち4人が「再殺人」での出戻りだ。

 1999年9月の全く同じ日に、こうした再犯者たち3人に死刑が執行され、絞首となっている。1度目の犯罪で無期懲役、仮出獄で娑婆に出たものの、再び凶行に手を染めた彼らには、もはや「満期」は訪れなかった。以下、13件の凶悪殺人を扱ったノンフィクション『殺人者はそこにいる』を基に概要を記す。

M・S(享年62)…1959年、山口市で7歳少女を山林で強姦しようとし、騒がれたため絞殺→入所。15年後、仮出獄→79年、東京都北区で3歳女児に猥褻行為を働こうとし、抵抗され絞殺。(東京拘置所収監)

K・T(同61)…67年、福島県内でクリーニング店の元同僚女性を絞殺、1万9千円を奪う。→入所。22年後、仮出獄→90年、焼き鳥店の女将を鉄工用ハンマーで撲殺。2万5千円入りの財布を奪う。(仙台拘置支所収監)

T・M(同69)…62年、別れ話の末、妻に重傷を負わせ、義母を刺殺。→入所。14年後、仮出獄→暴力沙汰を起こし刑務所に逆戻り→6年後、仮出獄→85年、前妻の居場所を聞き出そうとして断られ、前妻の叔母と養女を刺殺。2人合わせて76カ所の刺し傷。(福岡拘置支所収監)

 事件の詳細は同書に譲るが、「再犯」の実態が突きつけられるのではないか。

 さらにこんなデータも。2017年に殺人で入所した受刑者が、過去に何度入所経験があるかを示した数字(入所受刑者の入所度数別人員)を見てみると、総数176人に対し、2度10人、3度4人、4度3人、5度以上10人となっている。
 要するに、この年、殺人で入所している176人のうち27人が、必ずしも理由が殺人とは限らないものの、少なくとも初めてのムショ暮らしではなかったのである。

 2016年に再犯の防止等の推進に関する法律が施行されるなど、「再犯防止」は国としても大きな課題となっている。しかし、過去の例を鑑みると、再犯とは「病」どころか「宿痾」、あるいは人が生きるための「よすが」なのかもしれない。

デイリー新潮編集部