「18時間勤務も」9人死傷の名古屋高速バス炎上事故  同僚運転手らが「超過労運転」を告発!

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「長い時には18時間勤務」

 彼のひたむきな仕事への情熱を知った上で、会社は無理を強いていたと指摘するのは、別の同僚である。

「大橋さんは普段から1日11時間勤務、長い時には18時間勤務なんてこともあった。事故前の直近1週間だけみても、8月16日と翌17日の両方で午前5時半頃から18時間を超える長時間勤務に就いたと聞いてね。また、前のシフトが終わるとバスを一度車庫に戻さなくてはいけないのに、彼は空港付近など出先で休憩を取って車庫に戻らない。乗客を降ろした後、大橋さん本人から“体調が悪いから休憩してから帰る”なんて連絡が両日とも入っていたようだ」

 厚労省が示す労働基準によれば、運転手の勤務は基本的に1日16時間を限度とすると定められている。さらに、次回勤務までの間には、休息期間として最低8時間の間隔を設けなくてはならない。

 これらを踏まえれば、運行会社は大橋運転手に対し、不当に過酷な勤務を日常的に課していた疑いがある。

「ウソばっかり」

 先の同僚はこうも言う。

「18時間勤務なんて違法もいいところ。会社側も人手不足で月に何度も大橋さんに無理な勤務をさせ、彼は体調を悪化させていった。それで高速バスの担当から外れたのに、代わりの人員が確保できず、再び空港行きのバスに乗務させられたのが事故に至る経緯です。会社はもっと大橋さんを休ませるべきだった。事故後、会社から従業員に対し詳細な説明は一切なく、紙切れ1枚掲示しただけで具体的な対策もないまま、“日本一、安心安全なバス、タクシー会社を目指す”などと言うばかり。テレビで会社が開いた記者会見を観たけど、死人に口なしでウソばっかりついていると思ったよ」

 振り返れば、事故後に「あおい交通」が開いた会見では、松浦秀則代表取締役(65)ら幹部が居並び、大橋運転手の睡眠や休息時間について「問題なかった」と説明しているのだ。本当にそう言い切れるのか。

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