異次元の円安だが「ドル預金」が危険な理由 資産防衛のために何ができる?

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 輸出立国だったころはメリットもあったにせよ、いまは円安に傾けば物価が上がって日本の国力は下がり、生活者は追い込まれるだけだ。なのに異次元緩和とやらで富める人の資産をむしばみながら、急激で異常な円安を招いて貧しい高齢者も追い込む。戦犯は――。

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「日銀がアホだと寿司が値上がりする」。一見、唐突な言い回しのようで、「風が吹けば桶屋が儲かる」などよりはるかに堅固な因果関係で結ばれている。

 事実、回転ずし大手のくら寿司は価格を全面的に見直し、創業以来38年間守ってきた1皿100円を今月で終了するという。急激な円安で原材料が値上がりし、この2年で仕入れ値は、マグロが1.6倍、サーモンが2倍になったそうだ。

 むろん回転ずしは氷山の一角で、食料品のほか日用品からガスや電気料金まで続々と値上がりし、われわれの生活を脅かしつつある。それどころか、一億総貧困化につながりかねないほどだが、まずは、いまなにが起きているのかを把握するところから始めたい。

日本と海外との物価の比率は、約50年前と同じ

 円はあれよという間に下がり、1ドル144円台をつけるまでになった。半年で25円以上も下がり、24年ぶりの円安水準に達したが、

「実質実効為替レートで言うと、現在は1971年と同じくらいの円安です」

 と話すのは、ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志氏である。

「実質実効為替レートとは、一言で言えば、国内の財・サービスの価格と、外国の財・サービスの価格を円建てで比較して、割安なのか割高なのかを示したもの。つまり日本と海外との物価の比率が、現在は1971年と同じだということです。世界各国でインフレが加速するなか、日本は海外と比べて物価上昇率が低い。そのために物価差が生じて、海外の製品は国内製品に比べて割高感が高まっています。そこに円安が重なり、二重に割高になってしまっているのです」

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