ヤクルト・村上宗隆が三冠獲得へ…三冠王を巡る名選手たちの“激闘譜”

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「一生忘れられない1日」

 史上4人目の落合博満(ロッテ)は、史上最多の3度の三冠王(82、85、86年)を達成。最初の三冠王獲得時の28歳は、現在でも史上最年少記録だ。

 82年10月9日の南海戦、すでに首位打者と打点王を確定させていた落合は、4回に藤田学から右中間に32号3ランを放ち、ケージ(阪急)に2本差をつけた。ライバル・ケージもこの日の近鉄戦の9回に31号を放ったが、これで全日程終了。この結果、落合の三冠王が決まった。

 前年の首位打者に続き、プロ4年目で三冠王を手にした落合は「試合前までは自信がなかったんです。でも、4回に本塁打が打てて、“貰った”と思った。本来打つべき人が打たなかったから、ツキがありました。一生忘れられない1日でしょう」と初々しいコメントを残している。

 84年のブーマー(阪急)、85、86年のバース(阪神)に次いで、史上7人目の達成者が、2004年の松中である。

 前年に右膝を痛めた松中は、膝への負担を軽減するため、これまでの引っ張り中心からセンター方向を意識した新打法に変えた。このモデルチェンジが打率アップにつながり、栄冠を手にするのだから、世の中何が幸いするかわからない。まさに“ケガの功名”だった。

 シーズンもいよいよ大詰め…村上が松中に続く史上8人目の三冠王になれるか注目したい。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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