天然の万能薬「唾液力」の鍛え方 抗菌物質がウイルスを阻止、オススメな食品は?

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なぜ人類はネバネバ唾液を必要とした?

 一方、ネバネバ唾液は、緊張感が高まり、交感神経が優位になった時に作られます。ネバネバ唾液には、タンパク質が多く含まれ、唾液の有効成分を凝縮したものといえます。そのためネバネバするわけですが、なぜネバネバの唾液を人類は必要としたのでしょうか。

 まだ文化的な生活を始める前で、獣のような暮らしをしていた原始の時代、人類は異性を取り合うなどの際に生身で激しく闘い、時には殴り合い、そしてかみ合うこともあった。当然、口の中も傷つく危険性が高く、粘膜を保護するために抗菌物質を多く含むネバネバ唾液を人類は生み出した。その名残として、緊張状態になるとネバネバ唾液が分泌される――一つの仮説として紹介されています。

 つまり、サラサラ唾液とネバネバ唾液の役割は異なり、いずれも人類にとって必要不可欠なのです。それを、私たちは自然に体内で分泌してきた。

 唾液の持つ奥深さが分かっていただけたと思います。やはり唾液は貴重な「万能薬」であり、決して汚いものとして“吐き捨てる”ことなどできないものといえるのではないでしょうか。

槻木恵一(つきのきけいいち)
神奈川歯科大学教授。1967年生まれ。神奈川歯科大学歯学部卒業。歯学博士。専門は口腔病理診断学、唾液腺健康医学、環境病理学。2007年から同大教授、14年から同大副学長に。『唾液サラネバ健康法』等の著書がある。

週刊新潮 2022年9月15日号掲載

特別読物「コロナ禍で“悪者”扱いでも…『ウイルスブロック』『脳機能維持』 天然の万能薬『唾液力』の鍛え方」より

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