天然の万能薬「唾液力」の鍛え方 抗菌物質がウイルスを阻止、オススメな食品は?

ドクター新潮 健康 免疫力

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睡眠ホルモンも

 また、先に紹介したIgAは、善玉菌を阻害せずに、悪玉菌だけを識別して除去してくれるため、腸内フローラを良好に保つ働きもします。逆に腸内環境が良いと、唾液腺が活性化され、IgAが増える。腸管と唾液腺は相互に影響し合っていて、「腸―唾液腺相関」があるのです。

 この他にも、発がん性物質の活動を抑制するペルオキシダーゼという酵素や、体内時計を整え、快眠へ誘う「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンなど、唾液には多種多様な成分が含まれています。まさに、唾液は「万病に効く天然薬」のポテンシャルを有しているのです。

 しかし、先ほど述べた通り、唾液の量は加齢とともに減少していってしまいます。40代から50代にかけて徐々に減り、60代に入るとさらにガクッと落ちる。唾液量の減少がどれほどのインパクトを持っているか、それは簡単に確認することができます。

 就寝前にどれだけきれいに歯磨きをしても、起床後、歯にプラーク(歯垢)がたまっていたり、口臭がするという経験は、多くの人がしていると思います。これは就寝中に唾液の分泌量が減るため、口の中を洗い流す働きが落ちてしまうことによって起こる現象です。口腔内に、爆発的に細菌やウイルスが増えてしまうのです。寝ている時間はせいぜい7~8時間程度。わずかそれだけの間、唾液量が減少するだけで、顕著に自覚できるほど口腔環境は悪化するわけです。

マッサージも有効

 それでは、唾液量を維持もしくは増やす、すなわち唾液力を強化するにはどうしたらよいのでしょうか。

 まずは、自覚的に口を動かすことです。口腔は筋肉の塊であり、その筋肉を動かすことによって唾液腺が刺激され、分泌量が上がります。

 外部から唾液腺に刺激を与えることも効果的です。三つある唾液腺のうち、外部から最も刺激を与えやすいのは耳下腺。皮膚のすぐ下にあるからです。ここに指を当て、円を描くようにマッサージしてみてください。サラサラとした唾液が出てくるのが分かると思います。口が乾いた時などに行うと、マッサージの効果がより実感できるはずです。

 他の二つの顎下腺や舌下腺に刺激を与えるマッサージも有効です。どちらも顎の下の、少し奥まったところにあるので、そこを指で多少強く押すことで刺激できます。

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