ウクライナ軍 ハルキウ奪還で露呈したロシア軍の致命的欠陥 軍事専門家も驚き

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奇襲成功の謎

「北朝鮮の弾薬が補給されていたら、最前線の部隊は頭を抱えているかもしれません。2010年、朝鮮人民軍が韓国軍を砲撃するという『延坪島砲撃事件』が発生し、韓国は海兵隊員2人と民間人2人が死亡するなどの被害を受けました。その際、北朝鮮の弾薬は不発弾が相当な割合に達するなど、状態がひどいことが明らかになったのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 同じことがウクライナでも起きている可能性がある。そもそもロシア軍も、朝鮮人民軍の砲弾に信頼を置いているとは考えにくい。

「もしウクライナの最前線に届いたのなら、試射を行っても不思議ではありません。その結果、延坪島砲撃事件と同じくらいの高率で不発弾があることが判明すると、部隊全体が不安に包まれるはずです。士気は更に低下することになるでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 そもそもウクライナ軍の奇襲攻撃が成功するという時点で、ロシア軍の致命的な欠陥が浮き彫りになるという。

「偵察衛星や偵察機の発達により、『敵軍の動きを把握すること』と『自軍の動きが把握されていること』は、現代の戦争では前提条件となりました。1990年の湾岸戦争でアメリカ軍は、最前線で進軍する陸上部隊の同行取材を一部のメディアに許可し、戦況をリアルタイムで広報しました。『イラク軍も自分たちの動きを知っている』ことは当たり前だと考えていたからです」(同・軍事ジャーナリスト)

今後の戦局に影響

 ロシアも軍事大国である。宇宙に偵察衛星を飛ばし、空で偵察機も運用している。近年はドローンによる偵察にも力を入れている。

「ウクライナ軍は大規模な反攻作戦に乗り出したのですから、兵力も相当な規模でしょう。機械化部隊なのは当然で、先頭を戦車が進み、その後を装甲兵員輸送車が続いたはずです。小規模な決死隊ならいざしらず、多数の敵軍が攻めてくるのをロシア軍はキャッチできなかった。ただただ呆然とするばかりです」(同・軍事ジャーナリスト)

 兵站や偵察という要素も極めて大きいが、やはり結局は士気が最重要なのだろう。不退転の決意で反攻作戦に乗り出したウクライナ軍と、軍服を捨てて遁走したロシア軍との差はあまりに大きい。

「西側諸国が軍事支援を行っても、戦線が膠着していた時期もあり、“支援疲れ”が心配されていました。更に、冬の訪れが現実味を増し、ロシアがエネルギー供給を口実に圧力をかけ、一部の国が屈服するのではないかとも懸念されていました。それが今回の大勝利で、ウクライナ軍はもちろんのこと、支援を続けていた西側諸国も手応えを掴んだはずです。これは今後の戦局に大きな影響を与えるでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

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