牛65頭殺傷の最凶ヒグマ「OSO18」 動物愛護団体らからの抗議でハンターが動けない不条理

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「ここに住んでみるかい」

 先の本多副支部長も、

「愛護団体の抗議は本当に多くて、標茶の役場の電話が鳴りやまないそうなんです。我々ハンターだって、むやみやたらにクマを見つけたら撃つ、なんでも殺せばいいと考えているわけではなく、人命にかかわることなので、しっかり頭数を管理しないといけないと思っているのです。クマの頭数が増えて、今のようにそこら中にいる状況になったのは、かつて道内でも保護の動きがあって、三十数年前に『春クマ駆除』が禁止されて以降のことですから」

 再び後藤支部長に聞くと、

「これだけの被害があって大騒ぎしているのに、まだ捕ったらダメだというなら、苦しんでいる農家のことを考えてもらわないといけない。このまま放置したらどうなる。じゃあ、抗議する人らはここに住んでみるかいと。農家の被害を補償してくれるのかと言いたいです」

数千万円の損害が

 いったい地元の被害はいかほどなのか。そこで標茶町役場農林課に尋ねると、

「21年までの農家さんの被害ですが、牛の死亡や治療などにかかる費用から算出した額は約1900万円。牛を放牧中、被害があったため中止した場合に発生した牛の飼料購入費については約2千万円(想定額)となります。その他にも損害が発生しているかもしれませんが、町で算出しているのは以上です」

 最後に、冒頭で話した第一発見者の高橋さんは、

「本当は自然の中で育てるのが一番なのに、襲われた当日から仕方なく放牧はやめています。ずっと牛舎に閉じ込めっぱなしなんですが、そうなると足腰が弱くなって、乳牛として長く使えない。収入が何百万円も違ってくるので、本当に大変です……」

 それでもクマの命の方が大事だと声高に叫ぶ人々は、是非とも標茶の町へ足を運ぶことをお勧めしたい。

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

ワイド特集「危険地帯」より

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