連日のように報じられる“撮り鉄”によるトラブル SNSでマスコミに反論するのがトレンドに

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 撮り鉄とは、鉄道の写真・動画撮影を趣味にする人々を指す。大半は常識人だが、撮影現場で傍若無人な振る舞いに及ぶ狼藉者もいる。数々の問題行動は、新聞やテレビなどで報じられてきた。しかし最近、批判を甘んじて受けてきたはずの撮り鉄が、SNSなどで“反論”することが増えている。

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 8月下旬、東京駅に入線する「ドクターイエロー」の動画がTwitterに投稿され、大きな反響を呼んだ。

 だがツイートを見ると、《マナーが悪いパン人多数》などと最小限の説明しか書かれていなかった。

 これだけで鉄道ファンには伝わるのだという。とはいえ、まさしくパン人(一般人)である我々にはさっぱり分からない。まずは撮り鉄の実情に詳しい編集者に解説を依頼した。

「ドクターイエローは、東海道・山陽新幹線で線路の歪みや架線の状態などを計測する特殊車両です。目撃するのが難しいことや、『見ると幸せになれる』という都市伝説的な言い伝えが広まっていることもあり、新幹線のホームに入ってくると大騒ぎになるのです」

 やっぱり撮り鉄が大騒ぎしているんじゃないか──そう考えてしまうのは素人だという。

「ドクターイエローは一般人には珍しいものですが、筋金入りの鉄道ファンは見慣れており、特段の価値がある電車ではありません。件のツイートを“翻訳”すると、『常日頃から撮り鉄はマナーが悪いと批判されているが、一般人だってドクターイエローを撮影する時のマナーは悪いじゃないか』というニュアンスが汲み取れるのです」(同・編集者)

狼藉者が増えた理由

 Twitterで特に拡散されたドクターイエローの動画は3本。1本は先に紹介したものだが、もう2本は東京駅と京都駅で発車する際の騒動を撮影したものだ。どれも撮り鉄の姿が見当たらないのがポイントだと言える。

「夏休み中ということもあり、3本の動画は親子連れの姿が大半でした。東京駅ではホームからスマホを突き出すようにして撮影していた人もいたため、発車できないドクターイエローが何度も警笛を鳴らしていました。京都駅でも同じ状態となり、駅員が『発車できませんので、車両から離れてください』と繰り返しアナウンスしました」(同・編集者)

 ちなみに京都駅の動画では、注意を呼びかける駅員の声は怒気を含んでいるようにも聞こえる。親子連れは全く従わないので、駅員の気持ちが分からないでもない。

「鉄道写真という趣味は昔からありますが、撮り鉄のマナーが社会問題に発展したのは比較的最近のことです。背景の一つに、撮影機材が安価で手に入るようになったため、撮り鉄の裾野が広がったことがあります。昔のカメラは非常に高価なものでしたから、今ほど撮り鉄の数は多くありませんでした」(同・編集者)

 撮り鉄の数が増えれば増えるほど、非常識な狼藉者の割合も上昇するというわけだ。

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