秋から後期高齢者の医療費が2倍に! 「かかりつけ医」が重要になる理由

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 暑い夏をどうにか乗り切れば実りの秋が待っている、とはいかなそうで……。今秋から医療保険制度が変わる。物価高が続くなかで“追い打ち”をかけるように、後期高齢者の医療費負担が「2倍」に増えるのだ。この新たな「75歳の壁」を乗り越える知恵とは。【荻原博子/経済ジャーナリスト】【内藤眞弓/ファイナンシャルプランナー】

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 進学、結婚、子育て、出世争い。人生のさまざまな節目で立ちふさがる「壁」。それらをどうにか乗り越えて悠々自適な老後を――というのは昔の話。人生100年時代の今は、宮仕えを無事終えたとしても、さらなる困難が待ち受けている。

 昨今注目されている70歳の壁、75歳の壁、80歳の壁……。高齢社会に突入し、寿命が延び続けている現代は、言い換えればそう簡単に逝(ゆ)くことはできず、常に健康に留意しながら「生き続けなければならない」時代ともいえる。

 その上、何かと世知辛いご時世である。優雅な隠居生活を送れるのは“上級国民”くらいで、我ら庶民にとっての老後は「余生」という響きからはほど遠く、リタイア後も健康面とともに金銭面での「サバイバル」を強いられ続ける。

 そんな状況で、この秋から新たな「壁」が高齢者の前に立ちはだかることになる――。

370万人が対象

「今年の10月から、一定収入のある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担が、1割から2割に引き上げられます」

 と説明するのは、医療保険などに詳しいファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏だ。

「対象となるのは、これまで1割負担だった方の中で、独居生活をしているいわゆるおひとりさまに関しては年に200万円以上、複数人で生活している家庭の場合は計320万円以上の収入がある世帯です」

 具体的には後期高齢者の約20%にあたる370万人ほどが対象となるのだが、家計問題に関する著作も多い経済ジャーナリストの荻原博子氏が後を受ける。

「今までの後期高齢者医療保険では、現役並みの収入がある方は窓口負担が3割、それ以外の方は1割となっていました。しかし、3割負担の方は後期高齢者の中でもわずか7%に過ぎず、圧倒的少数派です。ほとんどの方は1割負担だったわけですが、そこに2割負担がのし掛かるわけです」

 とどのつまり、10月から始まる後期高齢者の窓口負担の引き上げは、やはり“上級国民”ではなく我ら庶民の問題ということになる。今まではまだ、「75歳の壁」を乗り越えれば1割負担で済むという、医療費に限って言えば優遇された“隠居的生活”が待っていたわけだが、今後はそれすらも許されないのである。

 折しもエネルギー、食品、電化製品と年初来、異例の値上げラッシュが続いている。しかも、これはまだ序の口で、ビール類や清涼飲料水の一斉値上げが予定されている10月こそが「値上げのピーク」だというから、そのタイミングでスタートする2割負担は後期高齢者にとって文字通りの「負担」となって襲い掛かってくるのだ。

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