秋から後期高齢者の医療費が2倍に! 「かかりつけ医」が重要になる理由

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なぜ「かかりつけ医」が重要?

 そして内藤、荻原両氏が口をそろえるのが、「かかりつけ医」の重要性だ。そこには、2割負担同様、10月から始まる別の新システムの問題が絡んでくる。

「紹介状なしに大病院で受診する特別料金の最低ラインが、10月から引き上げられます。ここで言う大病院とは、大学病院や、特定の疾病に対し高度な医療を提供する特定機能病院、200床以上の病床を持つ地域医療支援病院を指します。これまでは、こうした大病院での紹介状なしの初診受診料は、医科であれば5千円以上、歯科の場合は3千円以上だったのですが、10月からは医科は7千円以上、歯科は5千円以上となります。つまり、気軽に大病院に行って診てもらうと、高くつくことになってしまうのです」(内藤氏)

 したがって、

「ちょっとした体の不調や相談事は、かかりつけ医で済ませるほうがいいでしょう」(荻原氏)

「普段から体の調子をチェックしてくれて、必要な時に大病院への紹介状を書いてくれるかかりつけ医の存在がますます重要になってきます。かかりつけ医を持たないと、同じ病気やけがで複数の医療機関を受診する『はしご受診』や、困った時にコンビニ感覚で救急外来を訪ねる『コンビニ受診』をすることにもつながり、この点でも金銭的な負担は増してしまいます」(内藤氏)

 このような意味において、今まで以上にかかりつけ医の存在が大事になってくるというわけだ。

2025年問題

 それも当然で、2割負担を含めた今回の医療制度改定のそもそもの目的が、かかりつけ医の存在感を高めるためのものであるともいえるのである。

「2割負担への変更の背景には、『2025年問題』が存在しています」

 と、内藤氏が高齢者医療の大きな枠組みの変化について改めて解説する。

「2025年には、戦後の第1次ベビーブームで生まれた800万人ほどの『団塊の世代』が皆75歳以上となり、全員が後期高齢者の仲間入りをします。その時点で、75歳以上の人口は約2200万人にまで膨れ上がり、日本の全人口の2割近くを占めることになると見られています。つまり、日本は『高齢社会』ではなく『超高齢社会』に突入する。これが2025年問題です」

 人口ピラミッドの「逆三角形化」がますます進むわけである。

「後期高齢者人口の急増に伴い、医療費や介護費などの社会保険料も急騰することは避けられません。また、少子化によってますます労働力は減少していきます。医療・介護業界も例外ではなく、将来的に医師や看護師、介護従事者が減っていくことは不可避です。こうした変化に備えて、国は従来のような“病院完結型”の医療から、かかりつけ医をはじめ、薬局や老人ホーム、訪問介護サービス、自治会ボランティア、NPO等を含めた『地域包括ケアシステム』への転換を目指しています」(同)

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