日本は「中進国」に成り下がった? 給料を上げる“逆転の一手”とは?

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国家戦略としての経済の立て直し

 これらの逆転事例に共通するのは、国家戦略として経済の立て直しに動いたことです。シリコンバレーではレーガン元大統領が、中国では習近平主席が強いリーダーシップの下、官を中心に民の力を結集しました。だから逆転できたのです。

 実は、日本にもそういう事例がありました。戦後の焼け野原から松下電器、ホンダ、ソニー、トヨタ自動車と、世界に名だたる企業が誕生したのは、池田政権の下、強力な産業および金融政策による支援があったからです。

 40年におよぶ凋落の踊り場で政権を手にした岸田総理。その歴史的使命は、この衰退を逆転し、国民に力強い発展の方向を示すことではないでしょうか。

島田晴雄(しまだはるお)
慶應大学名誉教授。慶應大学経済学部卒。米ウィスコンシン大学にてPh.D(博士)。慶應大学教授、千葉商科大学学長、東京都公立大学法人理事長を歴任。政府税調委員から内閣府特命顧問まで数々の役職を務める。

週刊新潮 2022年8月11・18日号掲載

特別読物「日本は『中進国』に成り下がった!? 給料はこうしなければ上がらない」より

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