いまだに妻の本音がわからない…彼女の友人と浮気で、さらに悩みが深くなった50歳男性の告白

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どう思っているのか 妻に聞くと…

 瑠璃子さんは清士さんとの関係を、由紀乃さんには告げなかった。だが清士さんは誤爆を装って、妻に「今日は楽しかったね。ルリちゃんが燃えてくれてうれしかった」と帰宅時のタクシー内からLINEを送った。

「次の瞬間、オレ、何をバカなことをしているんだと思って、送信取り消しをしようとしたらうっかり削除を押しちゃったんですよ。こっちからは削除されたけど、妻の携帯にはもちろん残ってしまう。あわてても、もうどうにもならなかった」

 戦々恐々としながら帰宅したが、妻は普段通りに「お帰りなさい」と言っただけだ。午前零時を過ぎているのに、「ごはん、食べる?」と聞かれて、「いや、いい」と言うのが精一杯だった。

「あんなLINEを見ていながら何も言わない妻が怖いですよね。その後も、彼女はずっと“いい妻”を演じきっています。でもたまに、芸能人の離婚のニュースを見ながら『離婚した人たちってすっきりするのかしらね』と、独り言のようにつぶやいたりもする。そのたびにドキッとしますが、たとえ妻が離婚を切り出してきても僕はしません。裏切るのは絶対悪だと父からの教えがあったし、僕もそう思っていますが、瑠璃子さんとの浮気は裏切りには当たらない。瑠璃子さんの言葉を信じるなら、そもそも妻がそそのかしたことでもあるのだから」

 とはいえ、それは瑠璃子さんが泥酔したときの話。その後、由紀乃さんが本当に瑠璃子さんに夫を誘惑してと言ったのかどうか、清士さんは確認していない。

「本当はいろいろ、確かめたいことがあるんですよ。だけど話し始めたらとめどなくなって、由紀乃を責めてしまいそうな気がする。彼女の母親の不倫話も含めて。過去のことを確認しても意味がないとも思うし、由紀乃は柔軟性がないから話を持ち出した時点で、固い殻にこもってしまいそうな気もして」

 結局、何をどうしたらいいかわからないまま、時間だけが過ぎていく。ただ、人は人生の節目節目で、少し気持ちを整理していかないと、先に希望が見いだせないのではないだろうか。過去の嘘も真実もすべて飲み込んで善悪の判断はつけず、ここから新たな夫婦関係を作っていこうとしてもいいし、過去を整理してみてもいい。何かしないと、夫婦の関係がどんどん淀んでいくような気がしてならない。

「妻が今をどう思っているのか。それだけは聞いてみたことがあるんです。妻は『何が? 家庭ってこんなものでしょ』と冷たい笑みを浮かべたように見えました」

 離婚はしないと決めている。だが今の状況に不満がある。妻は話に乗ってこない。そんな彼が次に打つ手はあるのだろうか。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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