いまだに妻の本音がわからない…彼女の友人と浮気で、さらに悩みが深くなった50歳男性の告白

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清士さんの「無駄な抵抗」

 それから、清士さんは「無駄な抵抗」を続けた。飲みに行って深夜、遅くに帰宅したり、風俗の割引券をスーツに忍ばせておいたり。妻の気持ちに揺さぶりをかけたのだ。

「妻の気を引きたかったのかなあ。妻はそんな僕の心をわかっていたはずですが、ほとんど反応しませんでした。淡々と日常生活を送り、きちんと娘を育てている。僕だけがもがいているような気になりましたね」

 3年ほど前のある日のこと。突然、妻が「週末、友だちを呼んでもいいかしら」と言い出した。由紀乃さんはふだん、あまり人を家に呼ばないタイプだから、清士さんは珍しいなと思いつつ、大歓迎だと答えた。友だちというのは、由紀乃さんが中学生時代に仲良くしていた女友だちで、別の高校に行っても週に何度も会うような存在だった。

「由紀乃は大学に進学、相手の瑠璃子さんは親戚がいるからとアメリカに渡ったそうです。そこからほとんど連絡がとれなくなった。いつしか彼女の実家もなくなっていた。そしてSNSで再会したんだそうです。彼女、ここ10年ほどは日本にいたんだそう。ゆっくり話したいから家に呼びたい、と。それなら僕は娘を連れて遊びに行くよ、帰りに何かおいしいものを買ってくると約束しました」

 娘と遊園地で思い切り遊んだあと、デパートでさまざまな惣菜や肉を買った。帰宅後は、清士さんがステーキを焼いてふるまった。由紀乃さんと瑠璃子さんはワインを飲んでいたが、清士さんは瑠璃子さんをせめて駅まで送るつもりだったので飲まずにいた。

「珍しい妻の友だちをもてなそうと思って。僕の友だちが来ると、由紀乃は一緒に食卓を囲んでもお酒は飲まないでいてくれる。飲みたいときは飲んでタクシーを呼べばいいじゃないかと思うんですが、妻はそういうところは律儀で。夫を立てなければいけないと思っていますからね。だから僕もそうするしかないわけです。そういうのが窮屈に感じてはいたけど、やはり最初の約束は守らなければいけない。父からの家訓として」

 瑠璃子さんが帰るとき、由紀乃さんにも車に乗るようにと言ったが、「すっかり酔ったから家にいる」と言った。

「じゃあ、駅まで送ってくると車を出しましたが、車内での会話が楽しくてね、つい家まで送るということになりました」

 瑠璃子さんも気持ちよく酔っていたのだろう。ついペラペラと由紀乃さんの10代のころの話を始めた。

「まあ、由紀乃も大変だったと思いますよぉ。あんなこともあったしねえ、家もあんなだったしと言い出して。何があったのか僕はまったく聞いていなかったから、話を合わせながらも聞き出していったんです。気になったから」

 その結果、わかったのは彼女が中学生時代、父親の不倫で両親は一時期、別居していたということ、そして別居しているときは母親が若い男性を家に引き込んでいたということだった。

「母親が若い男と楽しんでいるところに由紀乃が帰宅したことがあって、彼女は真っ青になってうちに逃げてきたの、と瑠璃子さんは言いました。母親は気づいていなかったみたいだけど若い男には見られてしまった、そしてその男につきまとわれたらしいです。母親は娘が色目を使うからだと、由紀乃に嫌がらせをしたこともあったとか。地域ではけっこういろいろ噂が飛び交い、娘を心配した父親が戻って来て、元の鞘に収まったみたいですね。由紀乃の家はその後、少し離れたところに越したそうです。そんな話は聞いたことがなかったから驚きましたが、瑠璃子さんは酔っていたので、『由紀乃は否定するけど、私はあの若い男と由紀乃がデキてたと思うんですよねえ。だからお母さんが怒りまくったんじゃないか、と』と言っていました。瑠璃子さんが言うには、由紀乃は今でこそ落ち着いた感じだけど、あのころは自分から男を誘うようなことが多々あって、女の子には嫌われていたとか。『私も高校時代、彼氏をとられたことがある』と言っていました」

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