「コンビニ」アルバイトに異変 スキマ時間を使う「スポットワーカー」増加のウラ

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15日だけ勤務希望

 働く側の事情はどうか。先に紹介した例では千葉県からの応募だったが、過去には関西からの応募もあったといい、

「バックパッカーの方で、15日間だけで働きたいということでした。滞在先のホテルからの交通費もいらないということだったので採用しましたよ。ほかには大学の授業の合間にだけ働く学生さんがいて、この人はほぼ毎週働いてくれています。そういう方にはこちらも50円くらい時給をプラスしてあげて、また来てくださいね、というやりとりをします」

 ショットワークスコンビニを運営する株式会社ツナググループHCによると、サービスの開始は2016年。コンビニに特化したサービスでは同社が初の試みだったという。

「首都圏でスタートし、現時点ではチェーン問わず全国4500店舗以上にご利用いただいています。やはり急な欠勤対応、またはレギュラー勤務の働き手が確保できない店舗様のご利用が多いですね。弊社ではコンビニ以外のスポットワークに対応したサービスを行っておりますが、全体を見ると35歳までの方が利用者の半数を占めています」

 かねてより人手不足が叫ばれていたコンビニ業界。コロナ当初こそ「働く場所を失った飲食関係の方が押し寄せた。1応募に80人が来たこともあった」(先のオーナー)というが、現在はふたたび人手不足状態に戻りつつあるという。頼みの綱だった留学生はまだ戻ってきていない。そうした状況でも気軽に働けるスポットワークが重宝されている部分はありそうだ。

コンビニのレジ打ちが「スキル」に

 店長としてローソンでの勤務経験がある、マーケティングアナリストの渡辺広明氏は次のようにいう。

「20年前の初めてのバイト先といえば、ファーストフード店かコンビニが一般的でした。仕事が楽だからというのがその理由ですが、いまや荷物の発送や収納代行なども担うコンビニの業務は複雑化し、働く側から敬遠されつつあります。ただしマニュアル化された業務でもあるので、一度慣れてしまえば、同じチェーンであればどの店舗でもレジに立つことができる。その点で、コンビニの勤務経験が全国どこでも通用するスキルとなりえる、スポットワークはユニークですね。私は現場視察を兼ねてレジに立つことが今もあるのですが、だいたい1カ月もすれば品出しをふくめ一通りの仕事はできるのではないでしょうか」

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