大阪のセミが東京のセミより“うるさい”理由 あなたの街で一番聞こえるセミの声は?

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セミの分布に地域差が

 夏の風物詩セミ――今年は、例年であればセミが鳴き始めるはずの梅雨明けになっても「セミの声が聞こえてこない」と話題になったが、実はセミの鳴き声の大きさには地域差があるのをご存知だろうか? 大阪のセミが東京のセミよりうるさい、という説について専門家に聞いてみると――。

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 東京でおそらく一番多いのは「ジージー、ジリジリジリジリ」と鳴く「アブラゼミ」。あの茶色い羽根のセミは誰もが見たことがあるだろう。次に目にするのが「ミーンミン」と鳴く、ミンミンゼミ。透き通った羽根に緑色の体が特徴だ。

 一方、大阪で一大勢力を築いているのは「クマゼミ」。人によって聞こえ方は違うというが、「シャン、シャン、シャン」、「シュワ、シュワ、シュワ、シュワ」などと形容されることが多い。体はアブラゼミやミンミンゼミと比べて、ひとまわりもふたまわりも大きく、ボディーは黒色。まさに“クマ”の名前にふさわしい姿なのだ。

 つまり、同じ都市部でも、東京と大阪ではセミの種類が異なるため、クマゼミが大繁殖した大阪ではより騒々しいと感じるという仕組みだ。セミの鳴き声を「騒音レベル」で表すと、アブラゼミは70~80dB、クマゼミは80~90dBくらいあるという(90dBは騒々しい工場の中並の騒音)。

クマゼミは「人為的に広まった?」

 ところが、近年、“関西代表”だったクマゼミが関東にも進出するようになり、背景には地球温暖化の影響があると指摘する説も。そこで『怪虫ざんまい』『昆虫学者はやめられない』などのエッセイが人気の昆虫学者、小松貴さんに話を聞いてみると、

「たしかにその説明も聞きますね。でも私は、温暖化が原因ではなく、クマゼミは人為的に広まったんじゃないかと思っているんです。一時期、虫マニアが集まるネットの界隈でも話題になりましたが、関東地方に越してきたある関西出身者が、力強いクマゼミの声が聞けないのを寂しく思い、わざわざ何百匹か何千匹か、大量に捕まえてきて、野に放った。それが大繁殖していまに至るとか。あと、西日本でクマゼミに産卵された街路樹や電線などが人の手で東日本に運ばれ、これにより広まったという話もあります」

自由研究のテーマにぴったりな昆虫は?

 ところで、夏休みの終わりが徐々に近づき、子どもの「自由研究どうしよう」という悲鳴に慌てふためくご家庭も多いのではないだろうか。宿題に出遅れた子どもたちにとって格好の研究材料となるのが、ツクツクボウシだ。

 ツクツクボウシが現れるのは、他のセミの声が小さくなってくる8月後半。セミといえば夏というイメージだが、同じ環境に生きるセミでも出現する時期は微妙にずれており、ツクツクボウシは晩夏から初秋、場合によっては秋真っ盛りのころまで鳴き続けることで知られている。

 ツクツクホウシに限らず、夏の終わりになるとコオロギやアオマツムシなどの「秋の鳴く虫」や、夏のあいだ山で暮らしたアキアカネなどのトンボも成熟して町に降りてくるので、真夏とは違った虫を観察することもできる。

 この時期になるとセミたちもだいぶ弱ってくるため案外捕まえやすく、自由研究のテーマとしてもぴったりと言えるだろう。

デイリー新潮編集部