安倍氏追悼演説先送り 甘利明前幹事長には評価を上げる選択肢が一つだけあったのに

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選挙に弱い甘利氏

 安倍チルドレンという言葉は、狭義の場合、「2012年の衆院選で初当選した119人の自民党議員」を指す。あれから10年が経過し、今やチルドレンも立派な中堅議員だ。

「岸田さんが国葬を決断したのは、自民党内の保守派に対する配慮と報道されました。それは事実なのでしょう。ただ、自民党の国会議員は“安倍チルドレン”の割合が高く、『安倍さんは自分を当選させてくれた神様』と考えている議員は相当な数です。吉田茂氏(1878~1967)や佐藤栄作氏(1901~1975)という政治家にリアリティを感じない世代が国葬問題を議論しているわけで、実は大きな影響を与えている気がします」(同・伊藤氏)

 いずれにしても、甘利氏が相当に痛手を負ったということは間違いないと、前出のベテラン政治記者は言う。

「甘利さんが、誰もが認める首相候補と目されなかった理由の一つに、選挙が弱いということが挙げられます。1996年と2009年、そして21年に小選挙区で敗れ、重複立候補した比例区で復活当選を果たしています」

 大物議員であればあるほど、ましてや首相を目指す政治家にとっては、比例復活は恥だ。

「特に21年の落選は、『自民党立党以来初めてとなる現職幹事長の選挙区落選』と、悪い意味で注目を集めました。結果、幹事長辞任に追い込まれています。そして追悼演説の問題も、ある意味では落選以上の屈辱でしょう。親しかった安倍さんが亡き今、党内への影響力は減少し続けるのではないでしょうか」(同・ベテラン記者)

デイリー新潮編集部

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