「2億円超」受領疑惑の「高橋治之」元理事、五輪ビジネスの「裏」を知り尽くした男の知られざる錬金術

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 東京五輪組織委員会の高橋治之元理事が、「AOKIから総額4500万円を受け取り、東京五輪のオフィシャルサポーター契約締結の便宜を図った」とされていた事件で7月30日、新たに「4500万円とは別に、2億3000万円の金銭授受があった」と報じられた(共同通信)。このニュースに接し、ようやく事件らしい規模になった、というのが正直な感想だ。

だまされた

 当初の4500万円では、これまでの高橋氏のビジネス・スケールと違いすぎる。オリンピックに絡む疑惑の金額としても拍子抜けするくらい少ない。「オレは4500万円くらいで働かないよ」とうそぶく声が聞こえてくるようだった。

「二つの競技団体の強化費」の名目で2億3000万円(メディアによっては2億5000万円)をAOKIから受け取り、競技団体には6000万円か7000万円を渡した。「残った中の約1億5000万円を高橋氏の会社が受け取り、借入金の返済などに充てた」と高橋氏が任意聴取の中で答えたと報じられている。

 AOKIの青木拡憲前会長が「高橋氏にだまされたような気持ちだ」とコメントした心情もこれで理解できる。競技団体への強化費のつもりで振り込んだ2億3千万円の大半を高橋氏が差配していた。しかも高橋氏が「みなし公務員」とは説明も認識もなかった。AOKIが贈賄に問われるのはまさに青天の霹靂、「だまされた」と感じるのも無理はない。

 二つの競技団体は馬術とセーリングだと見られる。AOKIホールディングスが東京五輪のオフィシャルサポーター契約を結んだ際のプレスリリースで、次のように公表している。

《グループ会社の株式会社AOKIでは、2018年より公益社団法人日本馬術連盟と公益財団法人日本セーリング連盟のオフィシャルパートナーに就任し、オリンピック競技である馬術ならびにセーリングの競技普及・発展に向けて支援を行っております。》

チャンピオンブレザーを

 二つの競技に協賛することはAOKIの希望だったのか、それとも東京2020のオフィシャ
ルサポーター契約を結ぶ上で有用だと、暗に高橋氏に勧められての契約だったのか。

 高橋氏は任意の事情聴取に、「AOKIからの契約料は東京五輪への口利きでなく、正当なコンサルティング業務に対する報酬だ。AOKIにはゴルフをスポンサーするよう助言した」と語ったとも報じられている。高橋氏がAOKIと関係を結び、コンサルティングを始めたのは2009年ころからと言われる。調べてみるとちょうどこの時期、AOKIはゴルフへの協賛を始めている。2011年9月に出されたAOKIのプレスリリースには、「AOKI/日本オープンチャンピオンブレザーを販売」と題してこう記されている。

《AOKIは9月10日から、日本ゴルフ協会(JGA)公認のチャンピオンブレザーレプリカモデル(税込5万1450円)をオンラインショップで100着限定で発売する。

 日本ゴルフ協会(JGA)が主催する日本オープンゴルフ選手権、日本女子オープンゴルフ選手権、日本シニアオープンゴルフ選手権のスポンサーとして今年度も特別協賛し、各大会の優勝者に授与される「チャンピオンブレザー」の提供を行うことに伴う企画。

 JGAは2009年度から、ナショナルオープン3大会の優勝者にチャンピオンブレザーを授与する制度を開始し、そのブレザーをAOKIがすべて提供してきた。》

 これが高橋氏の助言や仲介によるものなら、高橋氏の発言は正しいことになる。だが、ならば2017年になって交わされた新たな月額契約は何を目的にしていたのか。そして、新たに明かされた「2億3000万円」の使途と目的は?

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