安倍元首相と北朝鮮 本人が明かしていた、5人の拉致被害者を巡る田中均氏との激論

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 安倍晋三元首相が暗殺された。第一報が流れた瞬間、韓国を知る日本人や在日、韓国のメディア関係者は、「犯人が韓国人だと困る」と思ったようだ。私も、一瞬だが「犯人が韓国人だと大変だ」との思いが頭をよぎった。でも、犯人の背後関係はなお闇のままだ。

「犯人は韓国人でないといい」と、多くの人が考えたのには、理由がある。8年ほど前に韓国で安倍元首相を暗殺する小説が出版され、話題になった。『安重根、安倍を撃つ』のタイトルだった。日本政府も抗議していないし、日本のメディアも扱わなかった。

 安重根は伊藤博文の暗殺犯だが、韓国では英雄だ。1909年10月26日に、中国のハルビン駅頭で伊藤博文をピストルで暗殺した。それが、現代によみがえり中国のハルビンで、安倍首相を暗殺するというストーリーだった。

 伊藤博文は、日韓併合に反対し、韓国の儒学者と話し合うなど当時の政治家の中では、韓国理解に努力したが、韓国では「植民地支配の元凶」と教える。

「総連から金をもらっていた議員」

 日本では知られていないが、安倍元首相も韓国では、伊藤博文に次いで嫌われた日本人だ。韓国では、安倍元首相は極めて評判が悪い。新聞記事には、必ず「右翼政治家」「軍国主義者」「韓国嫌いの政治家」との形容句が付いた。

 安倍元首相は、日本のどの政治家よりも、中国と韓国、北朝鮮についてよく知っていた。特に、北朝鮮に拉致された日本人の救出では、当初から努力した唯一人の政治家だ。

 拉致被害者家族は、当初は外務省や政党を訪ね、北朝鮮と連絡が取れる日本社会党や左翼系の人物にも接触し、解決を頼んだ。しかし、どこでも相手にしてもらえなかった。

 父親の安倍晋太郎元外相を訪ねて来た拉致被害者家族に、秘書をしていた安倍元首相が温かく対応した。拉致被害者家族と一緒に外務省や警察庁など、政府機関を回ってくれた。

 日本では、自民党と野党の政治家は、拉致被害者家族にひどく冷たかった。それどころか、「騒ぐと殺される」と脅された。後に「そのわけがわかった」と話してくれた。

 自民党の国会議員が、朝鮮総連から現金をもらっていたのだ。これは、警視庁が、議員会館に出入りする朝鮮総連職員を尾行して、事実を全て確認していた。ショッピングバッグに現金を入れ、議員事務所に出入りし、与野党議員に現金を手渡していた。もちろん違法だ。

 安倍元首相は「まさかと思う人も、もらっていた」と、何人かの名前を口にした。

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