「生ビール90円」驚異の居酒屋チェーンはどうやって稼いでいる? 「利益度外視」の裏側とは

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 その店を訪れると、夜8時を回っているのに入りきれない客が外で行列を作っている。それならば、と連れと待つこと約30分。ようやく案内されると、店内はサラリーマンばかり。そして、メニューにはこう書いてあった。

〈生中90円 水より安い!! 世界最高満足!!〉

 ちょっとオーバーな表現だが、生ビールの中ジョッキが90円(税別)なんて、ミネラルウオーター並みである。恐る恐る飲んでみると、確かに「生」だった。それも何杯飲んでも1杯90円だという。ちなみにハイボールは150円。ここは最近、都内で店舗を増やしている「新時代44(よんよん)」というチェーンの居酒屋だ。

 同店を経営する「ファッズ」の広報担当者に聞いてみると、

「うちの生ビールはアサヒの『新スーパードライ』を使っています。もちろん、安いのは賞味期限が近いからなんてことはありません。それどころか、アサヒビールさんから生ビールを扱っている飲食店で最も上位のランクを頂いています」

 つまみは一番高くて480円。甘辛い鶏皮の串や鶏肉の炭火焼が売り物だ。結局、今回は2人でハイボールを含め6杯と5品頼んで、計約3330円である。千円でベロベロに酔える“センベロ”の居酒屋より少し足が出てしまったが、並んでも入りたくなる気持ちは分かる。

儲けが出る秘密とは?

 それにしても、どうやって儲けを出しているのだろうか。先の広報担当者に聞くと、

「それはちょっと……」

 代わって激安居酒屋に詳しい飲食ライターが言うのだ。

「確かにスーパードライの中ジョッキが90円では利益度外視でしょう。しかし、最近の若者はあまりビールを飲みません。1杯で十分という人もいて、2杯目からは原価の安いハイボールや他の酒にする人が多い。また、同店はもともと鶏料理を売り物にしていますが、他のつまみも大半が鶏を使ったものです。メニューをできるだけ絞ることによって食材の種類を減らし、コストを下げているのでしょう」

週刊新潮 2022年7月21日号掲載

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