米紙も驚愕した「歴史的大逆転サヨナラ勝ち」も 「夏の甲子園」地方大会「伝説の決勝戦」

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「最もワイルドと言える9回だ」

 甲子園出場がかかった地方大会決勝は、両チームの「負けたくない」の思いが真っ向からぶつかり合うことから、ファンの記憶に残る名勝負も多い。そんな“伝説の決勝戦”3つをピックアップしてみた。【久保田龍雄/ライター】

「最もワイルドと言える9回だ」と米紙も驚嘆する“ミラクル大逆転劇”が起きたのが、2014年の石川大会決勝、星稜対小松大谷である。

 2年連続の甲子園を狙う星稜は、エース・岩下大輝(現・ロッテ)が不調で3回6失点KO。打線も小松大谷・山下亜文(元ソフトバンクなど)に4回まで無安打に抑えられ、中盤以降も攻略の糸口を掴めない。9回表の時点で0対8。勝負あったかに見えた。

 9回裏の攻撃を前に、星稜・林和成監督は「打者一巡の攻撃をするぞ」とナインを鼓舞したが、内心では「冗談半分。山下投手の素晴らしい投球に手が出なかったので、私が選手以上に早くあきらめていた」という。

 だが、ナインはまだ試合を捨てていなかった。先頭の代打・村中健哉主将が四球を選ぶと、同じく3年生の代打・今村春輝の右中間三塁打でまず1点。さらに4番・村上千馬が2点目のタイムリーを放ったあと、8回まで好投を続けていた山下が両足をつるアクシデントで交代したことが、さらに流れを引き寄せる。

星稜OBの松井秀喜氏も絶賛

 次打者・佐竹海音も、幸運な振り逃げで一挙二塁を陥れ、梁瀬彪慶の2点タイムリーで4点差。直後、9回から再登板し、3者連続三振で反撃の下地をつくった岩下が左翼場外に2ランを放ち、6対8まで追い上げる。

 なおも1死一、三塁から打者一巡して村中は遊ゴロ。併殺なら試合終了になるところを執念で一塁セーフをかち取り、1点差に。四球を挟んで村上が中前タイムリーを放ち、ついに同点に追いついた。

 そして、2死一、三塁からこの回13人目の打者・佐竹が、左翼手の頭上を越えるサヨナラ打を放ち、9対8でゲームセット。8点差からの大逆転サヨナラ劇は地方大会決勝では初めての快挙だった。

 星稜OBで巨人やヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏も「最後まであきらめなかった選手たちが素晴らしい」と絶賛した“ミラクル星稜”ナインは甲子園でも2勝を挙げている。

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