若者とおじさん、分かり合えない問題 「ハズレを引きたくない世代」は何を考えているのか

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イレギュラーなことへの耐性

 筆者は、メルペイに取材をした際、デジタルネイティブ世代が、お金のフローを見える化し、自分でコントロールし管理したい傾向が強いということを学んだ。

 だが、こうした傾向は、よくよく考えれば我々のようなアラフォー世代も同じだ。たとえば、健康管理アプリなどで歩数や消費カロリーをチェックしたり、スケジュールだってアプリで効率よく管理したい。“見える化”は、ハズレを引く可能性をぐっと狭める。QOL(Quality of Life)を向上させる上でも、ハズレなんか引きたくない。

 ICTが進化したことで、あらゆることが“見える化”し、コントロールや管理がしやすくなった。

 スマホネイティブは、我々と比べると、断然“見える化”することが当たり前の世界で生きている。それができないことに対する忌避感が、「サプライズなんかいらない」という言葉に表れているとしたら――。この点を掘り下げると、「今」が見えてくるのではないか。先の例で言えば、怒られることに耐性がある、ない、といった文脈ではなく、イレギュラーなことへの耐性がある、ない、の文脈で考えてみるといった具合だ。

 ファミコン世代にバグはつきものだった。スマホ世代にバグは起こらない。バグとサプライズの区別がなくなれば、サプライズもバグ、すなわち予期せぬものになる。だから、「サプライズなんかいらない」。

 サプライズなき時代。そんな時代をどう歩けばいいのか。私たちは、分水嶺に立っている。

我妻 弘崇(あづま ひろたか)
フリーライター。1980年生まれ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始。約2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターに。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

デイリー新潮編集部

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