注射するだけで老化の進行を遅らせられる? 順天堂大チームが開発した「老化細胞除去ワクチン」

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「ワクチンが市場に出るのは10年後くらい」

 南野氏は5年以内に結果を出したいと意気込む。

「その次の段階で、特定疾患に苦しむ患者さんへの臨床試験を開始したい。早く見積もっても、ワクチンが市場に出るのは10年後くらいでしょうか」

 10年と聞いて、思わずため息が出そうになった。が、南野氏も高橋氏も、表情はあくまで明るい。

「人類が科学的な方法で老化をコントロールし、健康長寿を実現する可能性が出てきたということ。研究者の世界では、10年なんてあっという間ですよ」(高橋氏)

 歴史上の偉人たちが欲した夢の薬。その実現は、現代人の手が届くところにまで近づいている。

緑 慎也(みどりしんや)
科学ジャーナリスト。1976年大阪府生まれ。出版社勤務後フリーとなり、科学技術等をテーマに取材・執筆活動を続けている。著書に『消えた伝説のサル ベンツ』(ポプラ社)、近著に『太陽系の謎を解く』(新潮選書、NHK「コズミックフロント」制作班との共著)がある。

週刊新潮 2022年6月30日号掲載

特別読物「ワクチンで『老い』を防ぐ!? 世界が仰天 順天堂大チームが開発『老化細胞除去ワクチン』」より

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