中国で「特殊詐欺の架け子バイト」をして4年半投獄された日本人の告白「取り調べ室で吊るされて自白を強要された」

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両手を縛られ吊るされた

 到着するや朝から取り調べが始まったという。一応、通訳のボランティアっぽい大学生がいたが、怪しい日本語しか話せず、意思の疎通は困難だったと語る。

「最初の段階で、刑事から『黙秘はできない』と言われました。こちら側からは『弁護士に相談したい』とも話しましたが、『中国では弁護士は裁判にならないとつけることはできない』と言われた。『何しに中国に来たのか』と聞かれ、『友達に呼ばれて遊びに来た』とすっとぼけました。入国審査でもし聞かれたら、そう答えるよう事前に言われていたからです。何を聞かれても適当に受け流したり、無視したりしていました」

 すると、別室に連れていかれたという。

「取り調べ官とは違う男性2人がやってきて、水道管のようなところに両手をつながれて、足がギリギリ届くような状態で吊るされました。それから数時間、殴る蹴るの暴行です。終わったら取調室に戻され、『詐欺電話をしていたんだろ』と追及が始まります。またシラを切っていたら、『さっきの男たちをまた呼ぶぞ』と脅されるのです。実際、暴行役の男性たちがやってきて、電気棒で体を小突かれもした。殴られている間はアドレナリンが出ているので、そんなに痛くないんです。ただ、翌日くらいになると体中が腫れて激痛が走りました」

おかずは三食「葉っぱ」だけ

 地獄のような取り調べは2日にわたって続いたと振り返る。そして、そのまま警察署に隣接している拘置所内で勾留されることになった。そのまま1年間、起訴されることはなかった。日本の場合、逮捕後の勾留期限は最長で20日間である。

 拘置所は不衛生極まりない場所だったと顔をしかめる。

「プレハブみたいな40畳くらいの縦長の部屋で、25人から30人が共同生活します。一応、屋根はありますが、壁の一部がなくてむき出しになっている。雨も入ってくるし、日中は暑いなんてもんじゃない。逆に夜は、寒くて凍えます。コンクリートの上に薄っぺらい布団を敷いて寝るのですが、冬はみんなスキー場にいる時のような格好をして寝るのです」

 食事もひどく、コメと葉っぱだけ。葉っぱは三食同じで、季節によって、キャベツのようなものがレタスのような菜っ葉に変わったという。

「汁物はない。部屋に小さな穴が空いていて、定時になるとそこから食料が放り投げられ、それを桶で受け止めて分けます。立場が上の人は自分用の桶がありますが、下っ端は共有の桶の中のものを手づかみで分け合う。水もホースみたいなもので支給されるのですが、1日に1、2回くらいしかない。だから、朝のお粥の余り水を自分用のペットボトルに保存したりして、喉の渇きを凌ぐのです」

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