突然「浮気」にハマり最大5股 アラフォー夫の目を覚まさせた、妻の“習いごと”

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訪れた「修羅場」

 そしてふたりはどうやって調べたのか、ある晩、自宅へとやってきた。浩也さんが帰宅したら、ふたりがリビングにいたのだ。柊子さんがふたりとにらみ合っている感じだった。

「別に結婚してほしいわけじゃないし、謝罪してほしいわけでもない。ただ、奥さんが気の毒になって、とふたりで訴えていました。僕はリビングの入り口で固まっているだけ。ただ、柊子はさすがに世慣れているというのか、『わざわざすみません。この人の女好きはわかっているので、どうぞお引き取りください。もうこの人と接点もたないほうがいいですよ』とにこやかに言っている。背中を冷たい汗が流れていきました。ふたりは立ち上がって、僕に『またねー』と言って去って行った。からかわれているとしか思えなかった」

 そしてふたりが帰ったのを確認して玄関に鍵をかけてから、リビングに戻ってきた柊子さんが彼に跳び蹴りしたのだ――柊子さんの習いごとのひとつが「キックボクシング」だったのだ。

「肋骨に蹴りが入って息ができなくなった。いつまでたっても立てない僕を見て、さすがに柊子が慌てていました。翌朝、病院に行くと肋骨2本に大きなヒビが入っていた。転んだと言い訳しましたが、医師はちょっと不審そうでした」

 その日はそのまま自宅に戻った。ヒビが入っていたというと柊子さんは「ごめんね」と言った。いや、オレこそごめんと言ったが、彼は今ひとつ何が悪いのかよくわかっていなかったという。

「自分がしていることが浮気とか不倫とか言われることだと、頭のどこかで理解はしているんだけど、ピンとこなかった。柊子を傷つけるつもりなんて、さらさらないし、僕と柊子は一心同体だと思っているし。まあ、でも世間的にはいけないことだというのはよくわかった。だから生き方を変えると約束したんです」

 約束してから半年、今のところ浮気活動はしていない。バレたらまずいが、バレなければいいのかなと感じ始めているというから、彼の「生き方を変える」はあてにはならない。柊子さんは「今度したら、ヒビじゃすまないからね」とせっせとキックボクシングに通っているという。

 ***

“生まれ変わる”と言い張る浩也さんのキャラクターも相まって、一見、笑い話のような印象も受ける。だが彼の根底には、複雑な生い立ちが影響しているのかもしれない。かつて抱いた「自由になりたい」という思いが、“多重不倫”という形で噴出してしまったのだろうか。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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