突然「浮気」にハマり最大5股 アラフォー夫の目を覚まさせた、妻の“習いごと”

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「夫にバレた」

 2年たったころ、彼女が「夫にバレた」と言い出した。

「むしろチャンスだと思いました。だから彼女の夫に会いに行ったんです。夫は柊子の一回り上。僕より22歳も年上でした。会社を経営していたので、電話をかけてアポをとって。今考えると変な話ですけど。彼は落ち着いていました。 『柊子さんがいないと僕は生きていけない。離婚してください。僕が結婚します』と懇願しました。『最終的には柊子の判断に任せるしかないよね』と彼は言いました。確かにそうです。僕はあまりにも緊張していたので、彼がいい人だったせいもあって急にへなへなと崩れ落ちてしまったんです」

 彼はあわてて浩也さんをソファに寝かせ、冷たい水を持ってきてくれた。救急車を呼ぼうかと言われたが断り、水をがぶ飲みしていると、心配そうに見守ってくれていたという。あんないい人と別れさせたら柊子さんに悪いと浩也さんは痛感した。

「全部打ち明けて、別れようと柊子に言いました。すると柊子は『夫が、あなたと一緒になってもいいって言ってる』と。また夫に会いに行きましたよ。彼は穏やかに『柊子があなたを選んだんだ。ただ、子どもたちとは自由に会わせてやってほしい。彼らも柊子が大好きだから』って。子どもとはいっても、長女は成人していましたし、長男は大学生でした。できれば家族の行事にも来てほしい、きみも一緒でいいからと。何か魂胆があるのかと思いましたが、彼は純粋に柊子との縁が切れてしまうのが嫌だったようです」

 そんな不思議な経緯を経て、彼は31歳のとき結婚した。結婚して半年後には柊子さんが妊娠。あきらめていただけにふたりの喜びはひとしおだった。

幸せの絶頂へ…

「あまり大きな会社ではなかったから、柊子は結婚が決まった時点で退職していました。事務仕事がすぐれていたから、『我が社始まって以来だけど共働きでもいい』と上司は言ってくれましたが、柊子が『このあたりで一度休みたい』と」

 その後、息子が生まれ、人生の絶頂期だったと浩也さんは振り返る。同時に、自分を捨てた両親の思いを想像すると複雑だった。彼は粘りに粘って、大好きな女性と一緒になることはできた。だが両親は離婚して、それぞれ新たに家庭をもった。そして子どもである自分が邪魔になったのだ。それまで「捨てられた」と思っていたが、いがみあった男女は、産まれた子をどちらも引き取りたくなかっただけなのかもしれない。大人として親として、浩也さん自身は許せない思いが強いが、「そういう人がいてもしかたがない」とも感じることがあった。そして、ある意味では浩也さんは柊子さんに、家庭を捨て「させた」のだ。自分だって人を非難できる立場ではないと思った。

「ただ、ありがたかったのは柊子の元夫が広い心をもっていたことですね。それで救われた。僕たち、元夫やその子どもたちに産まれた子を見せに行ったんです。みんな温かく迎えてくれた。子どもたちは『お母さんを大事にしてくれないと、私たちが黙ってないから』って。柊子がどれほど愛されていたのかよくわかりました」

 浩也さんと柊子さんは息子を中心に、温かい家庭を作っていこうと再度、誓い合ったという。

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