宇宙飛行士・野口聡一さん、引退後は社外取締役として引っ張りだこ? 山崎直子さんの推定報酬は3600万円

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訓練はハードだが…

 例えば、日本人として初めてスペースシャトルで飛行した毛利衛さんは現在「カネカ」の社外取締役に就いている。また日本人女性として初めて有人飛行を成し遂げた向井千秋さんも「富士通」「花王」の2社の社外取締役を務めている。

「IR情報によれば、毛利さんの報酬は1700万円、向井さんは2社あわせて約3400万円と推定されます。さらに、この二人をしのぐとみられるのが、2010年にディスカバリーで飛行した山崎直子さんです」(前出ジャーナリスト)

 山崎さんは現在、光学機器メーカー「トプコン」、成膜装置メーカー「オプトラン」、そして電気機器メーカー「ファナック」の3社の社外取締役に就いており、報酬は合計で推定3600万円。今月末に株主総会を控えるトプコンの「招集ご通知」では、山崎さんを再任候補とした理由がこう記されている。

〈宇宙空間というリソースの限られた厳しい環境下での危機管理を行った経験を有し(中略)主に科学技術分野やリスクマネジメントに関する豊富な経験と高い見識を生かした経営の監督とアドバイスを行っていただく〉

会社の看板として重用されるが…

 JAXAのHPには、3月で締め切られた2021年度宇宙飛行士候補者の募集要項がある。それによれば、過去の合格倍率はいずれも170倍超、95年度は応募者572人に対し、選抜者は野口さん一人だった。

 選ばれた候補者は、ジェット機による無重力体感訓練やサバイバル訓練など2年間の基礎訓練を経て正式に飛行士に認定される。訓練に際しては75メートルを10分間立ち泳ぎできる泳力の習得なども要求され、その後は搭乗機会が与えられるまで維持・向上訓練を続けるというのだが、その期間は「長くて7~10年間程度に及ぶことがある」というから想像を絶する。退職後の厚遇もうなずけるのだが、先の田代氏はこう指摘するのだ。

「社外取締役に最も求められるのは、経営者の暴走を止める能力です。宇宙飛行士は超人的な知性と体力を備えていることもあり、会社の“看板”としても重用されるわけですが、いかんせん経営の知識も経験も皆無。経営者が取締役会で『異議なし』と言わせるために置いているのであれば、実に残念なことだと思います」

 宇宙空間と同じく、企業でもリスク管理が求められるのは言うまでもない。

週刊新潮 2022年6月23日号掲載

ワイド特集「過去から未来への10カウント」より

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