「僕は不倫されても当然なのか」 幸せな結婚生活を暗転させた、年上再婚妻のあり得ない一言

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 厚生労働省の人口動態統計によれば、全婚姻のうち双方あるいはどちらかが「再婚」である割合は26.7%。結婚する4人に1組が再婚ということになる(2020年の数字)。この割合が80年代から徐々に増えているということは、パートナーとの「連れ子」と暮らす家庭も増加していることになる。今回ご紹介する男性もそんな一人だ。

 20年以上にわたって男女問題を取材し、『不倫の恋で苦しむ男たち』(新潮文庫)などの著書があるライターの亀山早苗氏が、当事者の男性に話を伺い、その胸中を明らかにする。

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「妻との関係はうまくいっている」と思っている男性は少なからずいる。そしてその中には「うまくいっている」わけではなく、妻に「諦められている」人もいるようだ。

「うーん。僕も諦められていたということなんでしょうか。ここ数年、自分としては衝撃的なことが続いて、もうどうしたらいいかわからない状態なんです」

 田村矩之(のりゆき・46歳・仮名=以下同)さんは泣き笑いのような微妙な表情を浮かべた。学生時代から陸上競技が得意で、地域のマラソン大会に出るのが大好きだという活動的な側面は、雲がかかったような雰囲気からは察することができない。

「このところはジョギングもサボり気味。そうするとますます考え込んでしまうので、なるべく体を動かすようにしなければと思っているんですけど……」

 彼が結婚したのは32歳のとき。相手は実家の近所に住んでいた6歳年上の希実さんだった。年齢が離れていたので、あまり一緒に遊んだ記憶はないのだが、ひとりっ子の矩之さんが就学前、外でひとり遊びをしていると声をかけてくれたりお菓子をくれたりしたのは、はっきりと覚えている。

「30歳のころかなあ、高校時代の同窓会があるというので久々に帰省したら、おふくろが『希実ちゃんが戻ってきてるよ』って。結婚して地元を出ていったんだけど離婚、ふたりの子を連れて帰ってきてると。会いに行ったら、希実が笑いながら迎えてくれた。『やっぱり地元はいいねー』と言いながらも、働く場所がないから早速、水商売をしているんだけどさとあっけらかんとしていました。なかなかの高級クラブで働いていたようです」

 当時、希実さんは36歳で、9歳と8歳の女の子を抱えての離婚だった。元夫からはひどいDVがあったため、別れることができてホッとしているところだったようだ。

「携帯のメールアドレスを交換して、それからときどき連絡を取り合うようになりました。実は僕、当時、結婚を考えている女性がいたんですが、希実と再会してから彼女への気持ちが冷めていき、別れてしまいました」

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