尹錫悦は「シャングリラ」で従中の馬脚を現した 後は「キシダ」を騙すだけ

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IPEFと同じ「裏切り」

「中国へのおべっか」は日本との共同訓練問題だけではありません。韓国国防部は韓国の記者団に「ミサイル警報に関わる3国の共同訓練はずっと続けてきており、別に目新しくもない」とも説明したのです。先に引用した聯合の記事から翻訳します。

・韓米日3国のミサイル警報訓練は四半期ごとに実施されてきたが、2018年以降は南北米の和解ムードを考慮し、訓練の事実を外部に公開していないことが明らかとなった。

 韓国は中国に対し「3カ国の共同訓練は継続中であり、再開するわけではない」と言い訳したのです。先に引いた日経の記事によると、日本の防衛省は「日米韓は2016-2017年に弾道ミサイルの情報共有などの共同訓練を計6回開いたが、2017年12月を最後に途絶えていた」と説明しています。事実関係が180度異なります。

 中国包囲網を目指すIPEF(インド太平洋経済枠組み)の結成会議にリモート参加した尹錫悦大統領が「開放性・包容性・透明性の原則」を訴えたのと同じ構図です(「『東アジアのトルコ』になりたい韓国、『獅子身中の虫』作戦で中国におべっか」参照)。

 米国に命じられて反中的な動きに加わっても、中国に対しては「米国の言いなりにはなりません」と揉み手する。韓国は保守の尹錫悦政権になろうと、文在寅政権の「反米従中」から「親米従中」に変わっただけなのです。

 韓国でも「中国を排除するためのIPEFを開放的に運営する」なんてことがあり得るのか――と、尹錫悦外交の二股ぶりが危険視されています。

 中央日報のユ・ジヘ外交安保チーム長が朴振(パク・ジン)外交部長官に単独会見した際、そこを突きました。朴振長官は「中国が新しい規範に適応して参加すれば中国にも開放されている」などと、苦しい言い訳に終始ました。「〈インタビュー〉韓国外交長官『韓日の懸案解決、包括的に』(1)」(6月13日、日本語版)で読めます。

うやむやのTHAAD公約

――尹錫悦大統領は選挙期間中に「中国に対する毅然とした姿勢」を訴えていました。

鈴置:THAADに関しても公約しました。韓国北半分を守るTHAADの配備です。在韓米軍のTHAADが南半分しかカバーできないので、韓国軍として独自に導入する、と約束したのです。もっとも、この公約はうやむやになっています。「3NO」に違反する可能性が高く、中国が許すはずがないからでしょう。

 公約ではないのですが、在韓米軍のTHAAD基地の「正常化」にも動くと報じられていました。文在寅はその前の朴槿恵(パク・クネ)政権が米国に認めた配備を忌み嫌い、環境影響評価の結論を任期中の5年間、出さず仕舞いでした。

 韓国の自称・市民団体はこれを盾に在韓米軍基地を封鎖し続け、機材の搬入を阻止しています。このため、THAADを運用する米兵は劣悪な居住環境の下、勤務しています。オースチン氏を含む米国防長官は韓国政府に繰り返し「正常化」を求めてきました。

 そこで「親米」を売りにする尹錫悦政権は「正常化」を掲げましたが、これも怪しくなってきました。シャングリラ会合を利用し6月10日に中韓国防相会談も開かれました。朝鮮日報は「韓中国防長官、THAAD問題など論議」(6月11日、韓国語版)で以下のように報じました。

・現政権が「正常化」の意思を明らかにした慶尚北道・星州の在韓米軍のTHAADに関しても、中国側はこの日の会談で憂慮の立場を表明したという。

 韓国国防部はこの問題に関し「今は語れない」とコメントを避けていますが、中国側を説得できなかったのは明らかです。「3NO」の読み方次第では、韓国は配備済みのTHAAD基地も追い出す必要があるのです(「『米国回帰』を掲げながら『従中』続ける尹錫悦 日米韓の共同軍事訓練を拒否」参照)。

 韓国では在韓米軍基地の正常化も先送りになると見る向きが多い。中国は経済的な報復も示唆していますから、THAADでも尹錫悦政権は「言うだけ番長」に終わるというのです。

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