パワハラは認定されず「愛媛農業アイドル自殺訴訟」で原告の遺族が敗訴 「誹謗中傷に苦しんだ3年半」を事務所社長が告白

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「月9」で陳述書を得ようとした原告弁護人

 メディアよりも佐々木氏が「絶対に許せない」と語気を強めるのが、遺族側の代理人を務めた弁護士たちである。とりわけレイ法律事務所代表の佐藤大和弁護士についてはこう憤る。

「裁判が始まって1年も経たないうちに、佐藤弁護士は、愛の葉メンバーたちに接触し、自分たちの弁護に都合の良い陳述書を書くよう働きかけました。その際、橋川美紀さんというメンバーは、佐藤弁護士から協力の“リターン”として、『月9ドラマ』への出演話を持ちかけられているのです」

 橋川さんは依頼を断った。だが、佐藤弁護士は、裁判に出すことに同意していない、彼女が佐藤弁護士に合わせて話しただけの内容を「聴取報告書」という文書にして、無断で法廷に証拠として出してしまうのである。

「こんなめちゃくちゃな弁護士がいるでしょうか。しかも、佐藤弁護士は『芸能人の権利を守る』などと謳っているのです。原告弁護団の汚いやり方に怒った橋川さんは、真実を記載した陳述書を書いてくれた。それは私たちの主張を裏付けてくれるものでした。佐藤弁護士と望月宣武弁護士に対しては、弁護士会にも懲戒請求をしています」

 この佐藤弁護士の行為については、「『農業アイドル自殺訴訟』で場外乱闘 タレント弁護士がちらつかせた“月9出演”話」(20年9月7日配信)で詳しくまとめてあるので、読んでいただきたい。

佐藤弁護士から編集部に届いた警告書

 原告弁護団は提訴の際は、あれだけ大々的に記者会見を開いたというのに、判決を受けての会見を今のところ予定していない。

 代わりにホームページ上で、控訴する方針を明かした。遺族のコメントは下記の通り。

「今回の裁判所の判断は、私たちの主張が認められず、大変残念です。萌景の自死から今まで沢山の方に支えられながら今日という日を迎えられております。この場を通じて、改めて萌景や私たち遺族を支援してくださる方に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。今後、弁護団の先生方と相談した上で、控訴して、私たちの主張が認められるようにしていきたいと考えています。私たち遺族は、裁判に正義がある、と最後まで信じて闘っていきたいと思います」

 加えて、SNS上で遺族に対する誹謗中傷が起きているとして、法的措置を進めていくと発表した。なお、原告側はこの裁判のためにリーガルファンディングを立ち上げ、548人から約283万円の支援を受けている。

 最後に編集部から、佐藤弁護士について付け加えさせていただく。判決を二日後に控えた6月7日、佐藤弁護士から、件の「月9」記事が名誉毀損や著作権侵害にあたるとして、削除を求める文書が速達便で届いた。

 佐藤弁護士からは、当該記事を配信した時のみならず、これまで度々、こうした訴訟をちらつかせた警告書が送られてきた。この場を借りて返答するが、記事は事実を書いたものであり、取り下げるつもりはない。

■相談窓口

・日本いのちの電話連盟
電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/

・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/

・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

デイリー新潮編集部

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