パワハラは認定されず「愛媛農業アイドル自殺訴訟」で原告の遺族が敗訴 「誹謗中傷に苦しんだ3年半」を事務所社長が告白

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16歳の少女が考えていた消費者金融からの借金

 だが、そこにお金という“壁”が立ちはだかるのである。それは、入学金、制服代、教科書代など、すべて足して20万円ばかりの金額であった。裁判で原告側が証拠として提出した、母親と萌景さんとのLINEのやり取りは衝撃的だ。

 入学金3万円の納付期限を二日後に控えた2月21日、萌景さんは母親に、消費者金融の広告画像を送り、こう聞いている。

〈ここで借りれんのかな?〉

 母親の答えは、

〈サラ金なんか大変やけん!〉

 親が進学費用を用立ててくれなかったため、16歳の少女はここまで追い詰められていたのである。

 結局、この3万円はどうしたかというと、事務所が貸すのである。3月1日に、制服代とかばん代として、6万6000円を再び貸し付ける。母親も了解のうえでだ。それでも、教科書の購入費など約12万円が足らず、これも事務所が用立てることになっていた。だが、そこで一悶着が起きた。

 事務所でお金を渡す予定となっていた3月20日の朝、母親が女性スタッフのA氏に「萌景の部屋が汚い。帰宅時間が遅い」と不満を漏らし、「事務所から指導して欲しい」と依頼するのである。依頼を受けたA氏は、萌景さんを叱責。反省した様子を見せなかったため、「そのような態度ではお金は貸せない」と注意し、その場ではお金を渡さなかった。なお、この場には母親も同席している。

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