「朝起きられない」の原因は副腎疲労の可能性が エナジードリンクは逆効果?

ドクター新潮 健康 その他

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いくら寝ても疲れが取れない

 副腎疲労とは、1998年に米国のジェームズ・L・ウィルソン博士によって提唱された概念です。文字通り、副腎の機能が低下して、さまざまな弊害が起こり、そのために慢性的に疲労が続く症状を指します。つまり、副腎の機能を正常化させれば、その疲労は改善することが期待できるわけです。

 いわゆる疲れ、急性的な疲労であれば1日、長くても2、3日休息をとれば回復するものですが、慢性的な副腎疲労は、いくら寝ても疲れが取れないのが特徴です。

 家事ができなくなり、立っているだけでも大仕事という方もいます。なかには、シャンプーをするために手を上げていることすら辛いという方もいる。こうしたどうしようもない疲れが続く時は、副腎疲労を疑ってみるべきだと思います。

コルチゾールの分泌がうまくいかなくなる

 副腎は、腎臓の上にあり、副腎皮質と副腎髄質からなる小さな臓器(イラスト参照)ですが、その小ささからは想像できないほど大きな役割を果たしています。大雑把に言えば、体の内部環境を一定に保つ機能である「ホメオスタシス(生体恒常性)」を維持するために、重要なホルモンを分泌している臓器が副腎です。命の根源を支えているともいえる大事な臓器なのですが、その割には一般的な知名度が低く、それゆえに副腎疲労もあまり認知されていません。

 副腎はさまざまなホルモンを分泌しますが、代表的なものとしてコルチゾールが挙げられます。副腎皮質から分泌されるこのホルモンは「元気の素」とも呼ばれ、代謝促進や体内の炎症を抑える作用があります。副腎疲労になると、コルチゾールをはじめとしたホルモンが必要な時に分泌できなくなったり、逆に要らない時に過剰に分泌されてしまったりと、種々の不調をきたすことになるのです。

 コルチゾールは、脳のエネルギー源である糖の新生を促したり、あるいは抗炎症作用を持っていることで「元気の素」の役割を担っているわけですが、健康な方の場合、朝に最も多く分泌され、夜になるにつれて分泌量が少なくなっていきます。つまり、コルチゾールの分泌によって、人間は朝目覚めた時に一番元気で、夜に向かって休息・睡眠に入る態勢をとることができているのです。しかし、副腎疲労になると、このコルチゾールの分泌がうまくいかなくなってしまいます。

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