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人道支援の3条件

 防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏は、安全保障論の第一人者として知られる。安倍晋三内閣総理大臣の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の有識者委員を務めたこともある。

 安全保障は、戦争防止、世界の平和を目指すものだ。それには人道支援も含まれる。佐瀨氏に改めて人道支援とは一体何なのか、取材を依頼した。

「人道支援を行うべき国であるか否か、私は対象国が3つの条件を満たしているかどうかで判断すべきだと考えています」

 佐瀨氏の3条件は、以下のようなものになる。

【1】その国が絶対的に貧しいか
【2】その国の国民に勤労意欲があるか
【3】その国のリーダー、政治家に法律や倫理上の問題があるか

「【1】は、世界でもトップクラスの豊かな国に人道支援を行うのは、何より有権者が黙っていないでしょう。人道支援は、豊かな国が貧しい国に行うべきものです。【2】は、支援によって対象国の自立心を奪ってはなりません。たとえ人道支援であっても、対象国民の勤労意欲を低下させるようなことがあっては問題です」(同・佐瀨氏)

プーチン大統領の問題点

【3】で問題にすべきは、政府首脳や政治家の“清廉度”だ。例えば、多くの関係者が汚職まみれという国家なら、人道支援を行うべきではないという。

「ロシアを例に取ってみましょう。現在はウクライナ侵攻で世界各国から制裁を受けています。たとえロシアで大規模な災害が発生したとしても、誰もが人道支援はすべきでないと判断するでしょう。しかし、仮にロシアがウクライナを侵略していなくとも、人道支援の対象国としては不適格だと言わざるを得ません」(同・佐瀨氏)

 ロシアが問答無用でペケなのは、【3】で大きな問題を抱えているからだという。

「ウラジーミル・プーチン大統領(69)が国家権力を悪用し、多額の隠し資産を所有していることは、国際社会で大きな問題になっています。更に、女性関係も批判の対象になっています。ロシアがウクライナに軍事侵攻を行っていなくとも、またロシアの豊かさや国民の勤労意欲を考えなくとも、プーチン大統領に問題がある時点で人道支援を行うべきではないのです」(同・佐瀨氏)

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