「日本医師会」中川会長が前言撤回で会長選不出馬へ… 「中川おろし」が吹き荒れた3つの理由

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中川氏は明言を避け……

 2つ目が、昨年12月に妥結した2022年度の診療報酬改定だ。中川氏は医師らの人件費に当たる本体部分が「プラス0・43%の引き上げとなり、直近4回の改定の平均値であるプラス0・42%と同等以上の水準」と胸を張ったが、実際は違うという。

「プラス0・43%の内訳は、看護師の給与引き上げ分と不妊治療の保険適用分で計0・4%を占め、これらは医療機関の収入増には繋がりません。また、処方箋を一定期間繰り返し使える『リフィル処方箋』制度の導入と小児コロナ加算の廃止で計0・2%のマイナスとなり、実質0・17%のマイナス改定となります」(医師会関係者)

 このカラクリに気付いた会員医師らによる不満が4月以降、大きくなっていたという。

「診療報酬改定で惨敗したのも、一言でいえば、中川さんに政治力がなかったから。政治組織としての側面も持つ日医の会長が、自民党有力者とのパイプがないのは致命的です。前会長の横倉氏は安倍晋三元首相や麻生太郎副総裁、二階俊博元幹事長らと強いコネクションを築いていましたが、中川さんに自民党有力者とのホットラインはない。実際、中川さんが再選出馬を表明した後、永田町から“中川じゃダメだ”との声が続々と聞こえてきた」(前出・幹部)

 裏を返せば、政治家からの信頼もなかったということだが、これが3つ目の理由という。

「結局、中川さんに大義がなかったことに多くの会員医師らが気付いた。コロナ患者への治療も公的な医療機関が担い、医師会を構成する個人の開業医は感染を恐れ、消極的な対応に終始してきたとの批判も根強い。この2年間、中川さんがやってきたのは国民のためでも、会員医師のためでもなく、“権力維持が目的だったのでは?”との疑念が広がるのをもはや抑えようがなかった」(同)

 複数の医師会関係者に話を聞いたが、皆、「いま出ても完敗は目に見えているので、中川さんが出馬することは9割以上の確率でない」との認識を示した。

 医師会を通じて、中川氏に宣言通り出馬するのかなどを訊ねたが、

「多忙のため(回答は)難しい」

 と答えるのみだった。

 中川氏の続投断念が、果たして医師会の再生へと繋がるか。

デイリー新潮編集部

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