大黒摩季が語る子宮全摘出と妊娠の断念 「大好きな音楽を恨むほどどん底に」

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「子宮の病気のバリューセット」状態

 しかし、42歳の時には子宮内膜症以外にも、子宮筋腫、子宮腺筋症、左卵巣嚢腫と、“子宮の病気のバリューセット”状態に。腹腔内いっぱいに炎症が広がり、40℃近い尿が出ることも、うずくまるほどの激痛に見舞われることも度々ありました。治療に専念するため、そしてわずかでも出産の可能性を残すため、もはや音楽活動を休止する以外の選択肢は私には残されていませんでした。

 1度目の手術では、子宮を温存するために腺筋症以外の患部を切除。そうやって不妊治療を続け、4、5回妊娠したもののいずれも流産。最後は子宮が肥大化して、皮肉なことに赤ちゃんがいるみたいに20センチほどお腹が出っ張ってしまいました。

 自分のポンコツな子宮のせいで、せっかく妊娠しても受精卵を自ら殺してしまっているのではないか、自分で産むという意地を捨て、他の人の健康な子宮なら受精卵を「殺さない」で済むのではないか。そんな罪悪感にとらわれ、2015年に子宮の全摘出手術を受け、以降はアメリカで、自分と夫の受精卵での代理母出産を試みました。でも、冷凍保存していた12個の受精卵を全て使い果たしても成功には至らなかった。年齢はすでに40代後半。もう一回採卵から始めるのか、それとも――。断腸の思いで自分から終えることにしました。

暗闇に落ちていく負のループ

 自分で自分の望みを絶つ。これ以上の虚無はありません。私をこんなふうにしたのは音楽のせいじゃないか。音楽なんかに出会わなかったら今頃、3、4人子どもを産んで、慎ましくも一軒家で暮らし、ハッピーファミリーの肝っ玉母ちゃんとして家業のパン屋を継いでいたんじゃないか。大好きな音楽を恨むほどどん底に突き落とされました。

 無気力状態に陥り、ただ風が吹いただけで涙がこぼれてくる。街で幸せそうな家族とすれ違うと胸が締め付けられる。くすりとも笑うことができず、自分で自分を閉じてしまい、引きこもり状態に。同情してくれる人がいても、あなたに私の何が分かるのかと邪悪な気持ちになり、そんな自分がイヤになって余計自己嫌悪に陥り、どんどん暗闇に落ちていく。負のループでした。

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