高齢者の「受診控え」で「認知症患者が300万人増加」 コロナ自粛の弊害を専門医が指摘

ライフ

  • ブックマーク

改善策は?

 もっと自分で動ける人の改善策は、久野氏が示す。

「一つは有酸素運動としてのウオーキング。ダンスなどでも構いません。もう一つは筋トレです。有酸素運動は、動脈硬化等の予防や脂肪の燃焼などには効果がありますが、筋肉量を回復させる効果は小さい。だから筋トレも必要です。下肢のほうが圧倒的に衰えやすいので、まずは下肢を鍛えるトレーニングを1、2種目やるだけでもいい。スクワットやもも上げがよいと思います。アフターコロナを見据え、これを機に健康長寿のためにライフスタイルに運動を取り入れることが重要です。そして認知機能の回復には、やはり人と会うこと。会話の機会を増やし、笑顔でいる時間を増やしましょう。生きがいを感じることが重要です」

がん検診控えが増加という問題も

 最後に、コロナ禍の受診控えのリスクにも触れておこう。矢野医師が言う。

「がん検診控えがこの2年、大幅に増えました。一時的にがんの診断数が減少したのは受診者が減ったからで、気付いたときには進行、転移していたことも多い」

 事実、新規がん患者は2020年、前年より6万件減った。がんにかかりにくくなったのではなく、がん検診の受診者が3割も減ったから。今後、がんによる死者が急増しかねない。

「ほかにも胸が痛くて、いつもなら病院に行ったのにコロナで受診を控えたら、後で心筋梗塞だとわかったというケースは多いようで、アメリカでは、それによる死者が増えたというデータも出ています。心筋梗塞や脳卒中のほか、受診が遅れて深刻化した重症の糖尿病患者の例も、米CDCのHPに出ていました」(同)

 日本人の自粛意識は欧米よりも強い。それだけに今後、二次被害は欧米以上に広がりかねない。そのことを認識したうえで各自の状態をチェックし、健康を維持し、さらには取り戻すように努めてほしい。

週刊新潮 2022年4月7日号掲載

特集「「巣ごもり生活から2年 コロナ禍で失った『心身機能』回復のための『総点検リスト』」より

前へ 2 3 4 5 6 次へ

[6/6ページ]