「ロシアを最も強く非難すべきは日本である」 石破茂元防衛大臣が見るウクライナ侵攻

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石破茂の異論正論・特別編

 国際社会の批判も経済制裁もいまだプーチン大統領の考えを変えるほどの効果を見せていない。しかし、防衛通で知られる石破茂元防衛大臣は、日本こそロシアを強く非難すべきだ、と説く。その真意は――。以下、石破氏の特別寄稿である。

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経済制裁の効果を検証せよ

 ロシアのウクライナに対する軍事侵攻について、日本では「力による現状変更は国際法に明確に違反する許されない暴挙である」「G7を中心とする国際社会は結束してロシアに対して毅然とした対応をすべきである」「プーチン大統領は今からでも姿勢を改めるべきである」という論旨が大勢を占めているように思われます。どれも正論ですが、残念ながらプーチン大統領がこれに応じて態度を改めるとは全く思えません。

 経済制裁が一定の効果を上げることを期待しますが、これも残念ながら、経済制裁のみによって軍事侵攻が止まることもないでしょう。あの北朝鮮ですら長期にわたる制裁に耐え抜き、今なお核開発を進めているのはご存じの通りです。

 ましてやロシアは世界有数のエネルギー資源大国であり、穀物ベースでの食料自給率も世界第11位の184%です。

 そしてロシアの連邦銀行は今回の侵攻に至るまでに、経済制裁を受けた際のシミュレーションを行い、準備してきたとも聞きます。

 今後は、経済制裁のどの部分がロシアの意思決定中枢に効果を上げるのか、分析しながら次の制裁を考えていくことになるでしょう。ただ楽観的な予測のみを当てにするのも、逆に「大した効果はないからやらなくていい」というようなことを言うのも、状況の改善に資することはありません。制裁を続けながら、より効果が出るものは何かを検証し続ける姿勢が必要です。

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