ホークス「工藤監督」は“読唇術”で認定され…判定に納得がいかず暴言を吐いた監督3人

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「巨人のユニホームを着た審判」

 次は、温厚な紳士として知られていた広島・三村敏之監督が珍しく感情的な言葉を口にし、物議を醸した“事件”だ。97年6月15日の巨人戦、5対4とリードの広島は、8回の守りも2死無走者まで漕ぎつけ、次打者・広沢克実は遊ゴロ。これでスリーアウトチェンジと思われたが、井野修・一塁塁審は「セーフ」をコールした。

 そして、皮肉にも、この判定が試合の流れを大きく変えてしまう。巨人は2死一塁からカステヤーノの三塁打と仁志敏久のタイムリーで6対5と逆転し、そのまま逃げ切った。

 一塁アウトを確信していた三村監督は、当然収まらない。試合後、「巨人のユニホームを着た審判をお立ち台に上げてやれ」と井野塁審を皮肉った。

 ところが、翌16日、セ、パ両リーグと審判組合の団体交渉の席で、この三村発言が取り上げられたことをきっかけに、騒動の輪が広がっていく。セ・リーグの川島会長は「事実なら、審判への侮辱だ。スポーツマンらしからぬ言動。巨人有利の判定などあり得るはずがない。三村発言は、せっかく盛り上がっているペナントレースに冷水を浴びせるものである」と一刀両断にした。

星野監督も“参戦”

 これに対して、三村監督は「試合後の興奮状態での発言とはいえ、軽率だった」と反省しながらも、「でも、誤審であったことも事実だ」と主張した。さらに、中日・星野仙一監督がこれに“参戦”する。「三村監督の発言は名言だ」と評し、「あれは明らかにアウトだ。間違えているのに、これはジャッジだ、と言われるのはたまらん。我々は毎日勝負をやっているんだから、処分も覚悟のうえで抗議する」と、三村監督を全面的に擁護した。

 グラウンド外での論争は、ファンも巻き込み、喧々諤々の議論が交わされる事態に発展した。結局、セ・リーグは、三村監督に制裁金20万円の処分を科したが、星野監督については「私的発言」として不問に付す形で騒動を収めている。

 テレビ画面に映し出された口の動きから「暴言」と認定される珍事件の主役になったのが、ソフトバンク・工藤公康監督だ。2015年4月3日の西武戦、1点を追うソフトバンクは8回1死一塁で、李大浩がセンターにライナーを放った。

 秋山翔吾がグラブを地面すれすれに差し出し、キャッチしたように見えたが、捕球かワンバウンドか、微妙なプレーとなった。審判団も混乱し、名幸一明・三塁塁審はアウトと判定したのに、原信一朗・一塁塁審は「フェア」をコールし、判定が分かれてしまう。

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