ウクライナがロシアのスパイ「620人リスト」を公開 元公安警察官が驚愕したワケ

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追い詰められた

 今回のウクライナ侵攻の作戦計画は、FSBが作成している。

「FSBは長年、スパイをウクライナに送り込んで情報収集を行っていました。そして、ウクライナの国民はロシアへの支持が高いとプーチンに報告しているのです。ところが実際は、ロシアを支持しない国民が圧倒的に多かった。悪い情報は報告しなかったのです。さらに、国境付近のウクライナ軍は強くないと報告しました。これも誤った情報でした。その結果、ウクライナ軍の激しい抵抗にあって、戦争は長期化しています」

 怒ったプーチンは、FSBの幹部を処分した。

「アレクサンドル・ボルトニコフ長官は出勤停止、対外諜報部の部長と次長は自宅で軟禁されています。加えて今回のリスト問題で、幹部は更迭されるでしょう。プーチンの息のかかった人物を長官に据えるでしょうが、自分の膝元でこんな前代未聞の不祥事が起こってしまったのですから、その立て直しは容易ではないはずです」

 ロシア軍のジェノサイドを非難するため、ドイツやフランスなどは、スパイ行為を働いたことを理由にロシア外交官を次々に国外退去にしている。

「各国に赴任するロシアの外交官は、自身がスパイであることはもちろん秘密にしています。今後は、620人リストをもとに調査を進め、彼らを国外退去させることになるでしょう。すでにベルギー、オランダ、アイルランドでは、スパイ活動をしたとして一部のロシア外交官を国外追放にしています。いよいよロシアは追い詰められた形ですね」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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