メキシコで“マフィアの拷問焼き”を頂く…ルポ漫画「鍋に弾丸を受けながら」 原作者に聞く危険地帯グルメの魅力

エンタメ 文芸・マンガ

  • ブックマーク

Advertisement

エルビス・プレスリーの死因になった?サンドイッチ

 世界の危険地帯での食事といえば、テレビ東京のドキュメンタリー番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を思い起こす人もいるだろう。同番組は食事を通して危険地域の人を描くドキュメンタリーだが、『鍋弾』はより食に重点が置かれている。実際、青木さんも「漫画のネームを書き上げた後に、初めて『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の存在を知りました」と意識していなかったという。

『鍋弾』の魅力の一つは、日本ではなかなか知られていない料理の数々だ。

 漫画の第5話に登場する「エルビス・サンドイッチ」はパンの間にピーナッツバター、ブルーベリージャムを塗り、バナナ、カリカリのベーコンを山盛りに入れ挟み、さらに油で揚げて上から粉砂糖を振りかける料理だ。エルビス・プレスリーの大好物でその死因になったと言われる料理で、カロリーは1人前で1万7000キロカロリーにも及ぶ。

「エルビス・サンドイッチはアメリカ人、特に若い世代にとっては若干ネタ的な料理なんです。さすがのアメリカ人も、あれはひと目見て体に悪いとわかります(笑)。調理法にもいろいろ流派があって、エルビスのお母さんは、ベーコンを焼いた際に出た油でパンを揚げていたそうで、本家が一番凶悪です」

 青木さんが日本人にぜひ食べてほしいと語るのが、シカゴの友人に連れられて食べた「イタリアン・ビーフ・サンドイッチ」。薄切りの牛肉を挟んだサンドイッチを、仕上げに肉汁の中にドボンと潜らせ、びちゃびちゃにする料理だ。

「予想していたよりも遥かに美味しくてびっくりしました。肉汁にドボンとやらない、ドライというオーダーもできるのですが、基本はみんな肉汁につけます。日本の牛丼屋で『ご飯につゆをかけない』と頼む人が少ないのと一緒の感覚です。アメリカのイリノイ州周辺でしか食べられないんですが、なんとか日本に来てくれないかなと願っています」

次ページ:食文化の違い

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。