兵士の士気が高いだけではない…ウクライナ軍“奇跡の善戦”の背後に3つの事情

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防弾チョッキの性能

「アメリカ軍はM4カービンという小銃を使用していますが、銃弾はNATO諸国で統一した弾を使います。同じようにウクライナが自国生産しているUAR-15という自動小銃も、NATOの統一弾を使うのです。つまり、武器を供与する際、仮にNATO諸国が銃弾だけを送っても、ウクライナ軍は使うことができるのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 ウクライナ兵が着ている迷彩服やヘルメットも、アメリカ軍やイギリス軍のものと近似しているという。

「ロシア軍のものより素材が良質のように見えますし、デザインも同一と言っていいほど似ています。アメリカ軍やイギリス軍の迷彩服と同じものを採用している可能性もあります。アメリカ軍など“西側”の防弾チョッキ(ボディーアーマー)は、コードを抜くと、すぐに脱げるといった、戦場で撃たれた時に迅速な応急処置ができるよう様々な工夫が施されています。もしウクライナ軍の兵士が、アメリカ軍と同じ仕様の防弾チョッキを身につけていたら、そうしたメリットも享受していることになります」(同・軍事ジャーナリスト)

ロシアの兵器にも精通

 またウクライナ軍はNATOの武器だけでなく、過去にはソ連=ロシア軍の兵器も扱っていた。

「ソ連製の旧式対空ミサイルが、初期の制空権争いでロシア空軍を苦しめたという報道もありました。戦場でロシア軍の戦車や車輌を鹵獲(ろかく)した場合、ウクライナ軍の兵士なら運転の知識や経験を持っています。すぐに自軍の役に立てるでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 更に独自の戦術も編み出し、アメリカ軍の幹部も、その独創性に感心しているという。

「ドローンに対戦車弾を持たせてロシア軍の戦車に突っ込ませたりするなど、独自の戦術を編み出しています。改めて振り返れば、【1】NATO諸国の武器供与、特にミサイルの威力、【2】もともと軍事産業が盛んで、小銃などはNATOに対応するものを作っていた、【3】NATO側の兵器にもロシア側の兵器にも精通し、独自の戦術を編み出した──この3つの理由から、世界の軍事関係者が驚く善戦を繰り広げているのだと思います」(同・軍事ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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