兵士の士気が高いだけではない…ウクライナ軍“奇跡の善戦”の背後に3つの事情

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ジャベリンの高性能

 歩兵携行式多目的ミサイル「FGM-148 ジャベリン」は、1996年からアメリカ軍への配備が始まったという。

「戦車や装甲車両を撃破するためのミサイルです。ただ、低空飛行しているヘリコプターを狙うこともできます。旧式の対戦車ミサイルは、撃った兵士が誘導する必要がありました。ところがジャベリンは、スティンガーのように自動追尾機能を備えています。そのため、兵士は撃つとすぐに逃げることが可能です。おまけに反動が少ないため、室内からでも発射できます。ビルの一室に潜み、戦車を狙うという戦術が採れるわけです。貴重な兵士が負傷する確率を下げられるという点でも、ジャベリンは非常に有益な兵器なのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 ジャベリンとは「槍」を意味し、槍投げのようにミサイルが放物線を描いて飛ぶことから名前が付けられたという。

 戦車は前方の防御を優先し、上部の装甲は比較的弱いという。ジャベリンは、この上部装甲を狙うのだ。

「ジャベリンは放物線を描きながら、弾頭が戦車上部の装甲を貫通して爆発します。ウクライナの現状を撮影した動画で、ロシア軍の戦車は砲塔部分に傘のようなものを付けていました。多分、ジャベリンに対する“弾よけ”のつもりなのでしょう。ロシア兵がジャベリンを怖がっているのが推測できます。ちなみに“傘”がどこまで効果があるのかは分かりません……」(同・軍事ジャーナリスト)

小銃の弾はNATO仕様

 そして最後のNLAWは、スウェーデンとイギリスが共同開発したミサイルだ。

「こちらはジャベリンほど高性能ではないにせよ、その分、価格が安くなっています。また、ジャベリンより軽いので、兵士にとっては携行が楽という利点もあります。しかも、ミサイルにはジャイロセンサーや加速度計などが搭載されており、どのような状態で飛んでいるかをミサイル自身が把握し、誤差を修正しながら目標に向かって飛んでいきます。ロシア軍を苦しめる能力は充分にあるのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 もともとウクライナは軍需産業が発達しており、冷戦下では「ソ連の兵器工場」という役割を担っていた。ソ連が崩壊しても軍需産業が衰退することはなかった。

「ウクライナの軍需産業は、アフリカ諸国という新しい販路を開拓しました。ウクライナ製の兵器はアメリカや西欧より安価ですし、オデッサから黒海を使い、海路でアフリカ諸国に武器を輸送することで輸送コストも軽減できました」(同・軍事ジャーナリスト)

 例えば、ウクライナ兵が携行している小銃などは自国で生産しており、NATO軍が統一した銃弾を使う設計になっているという。

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