藤井聡太、A級昇級で名人奪取へ…恩師は「自活してしっかり将棋に取り組んでほしい」

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幼少期に学んだ将棋教室の恩師からのメッセージ

 藤井が名人になる日を望んでいるメディアは、毎日新聞以上に朝日新聞かもしれない。「将棋の藤井聡太名人」としたいだろうから。

 今後の藤井だが、ファンにとっては「名人は先の話なので、まずは王座や棋王の獲得で最年少六冠」と行きたいところ。とはいえ、それより前に、棋聖位、王位などの防衛戦がある。六冠を目指すにしても、これらを防衛した上でのこととなる。

 将棋会館は東京と大阪にしかなく、藤井にとって地元での対局はほとんどなかったが、名古屋には会館まではいかないものの対局場が設置される運びだという。若いとはいえ、凄まじい移動を余儀なくされていた藤井の勉強時間が増え、ますます強くなることだろう。一挙一投足、何でもニュースになってしまう異常人気の藤井も7月には20歳になり、これまでの魅力の一つでもあった「初々しさ」も必然、減じられてはゆく。

 子供の頃の藤井少年を指導した「ふみもと子供将棋教室」(愛知県瀬戸市)を主宰する文本力雄さんは、「順位戦は最重要棋戦。万全の準備とすごい気迫で向かってきた佐々木七段の気迫に押されて劣勢にもなったが、よく盛り返した。運もよかった。見ごたえのある将棋でした。とはいえA級は今まで以上に厳しい。二十歳になれば聡太はもう親元で暮らすのではなく、自活してしっかり将棋に取り組んでほしい」とエールを送る。
(一部敬称略)

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。

デイリー新潮編集部

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