藤井聡太、A級昇級で名人奪取へ…恩師は「自活してしっかり将棋に取り組んでほしい」
最年少で名人獲得の谷川九段は……
A級に上がっても、すぐに名人挑戦者になれるほど甘くはない。加藤一二三は最速でA級に駆け上がりながら、名人獲得は42歳だ。現在の名人・渡辺明二冠(37)は、2期連続で挑戦者となった若手の「イケメン棋士」斎藤慎太郎八段(28)の挑戦を受ける。
仮に藤井が6月からのA級リーグ戦で首位となり、さらに来年夏にどちらかを破って新名人となれば、誕生日の違いから谷川の21歳2カ月を破る最年少記録で「二十歳名人」となる。
昨年夏に筆者が取材した谷川は、「楽しみでもありますが、もう私の最年少記録はこれしか残っていないので、抜かれたらちょっと寂しい気持ちになるかもしれませんね」と正直に語っていた。今回の昇級については、「藤井さんは現時点で名人であってもおかしくない圧倒的実力を備えている。私の名人とは全く価値が違う」(毎日新聞3月11日付朝刊)と絶賛している。
新聞の話に戻す。現在、朝日新聞は「藤井聡太竜王」との表記をしている。毎日新聞は「藤井聡太王将」である。藤井が獲得した五冠目の王将の主催が、毎日新聞と系列のスポーツニッポンだからだ。竜王戦を主催する読売新聞や協賛スポンサーが4320万円という最高額の優勝賞金を出したためかは知らないが、いつのまにか「将棋の最高峰は竜王」と称されるようになった。名人の賞金は非公表だが、3000万円強とみられる。
人それぞれだろうが、筆者は賞金額が最高だからといって「最高峰」とは思わない。「最高峰」はやはり名人だと思っている。竜王戦は、1950年からの九段戦、1962年からの十段戦を引き継いだ形だが、竜王戦と銘打ってからの歴史は浅く、第1回は1987年だ。
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