藤井聡太、A級昇級で名人奪取へ…恩師は「自活してしっかり将棋に取り組んでほしい」
歴代2位の年少記録
3月9日に千駄ヶ谷の将棋会館で行われた順位戦B級1組の最終リーグ戦で、藤井は佐々木勇気七段(27)を破り、10勝2敗としてA級に昇級した。既に『デイリー新潮』で報じたが、これは最年少記録ではない。最年少記録は加藤一二三九段(82)=引退=の18歳1カ月である。藤井は谷川浩司九段(59)=十七世名人資格=の19歳11カ月を抜いて歴代2位の年少記録となった。
プロ入り後、C級2組からA級に上がるまで4期という「オール1期抜け」で駆け上がったのは、過去、加藤と中原誠十六世名人(74)=引退=の2人だけ。藤井はB級2組に上がる際に1期ダブり、5期かかった。谷川も5期だ。
A級経験者やタイトル保持者がひしめき、「鬼の棲家」といわれるB級1組をあっさり1期抜けするのは、タイトルを取ること以上に難しい。リーグ終盤の頃から「A級入りは間違いなし」とは見られていたが、実はきわどかった。
藤井は9勝2敗で一歩リードしていたが、8勝3敗で争っていた稲葉陽八段(33)と千田翔太七段(27)はともに最終戦に勝った。昇級枠は2人で、残りは序列の関係で稲葉と決まった。もし藤井が破れて9勝3敗で3人が並んだ場合、序列の関係から藤井の昇級はなかったのだ。
最終戦の相手・佐々木は、かつて藤井のデビュー以来の30連勝を止めた強豪。佐々木の厳しい攻めに1時間半の大長考をする場面もあった藤井は、落ち着いて裁き、最後は「即詰み」に仕留めた。13時間の激戦を制した藤井は、「苦しくしてしまったかなと思って指していた。苦しい戦いだった。何とか昇級できてよかった。来期は(名人への)挑戦争いに絡めるように頑張りたい」と話した。
これでプロ入り以来の藤井の公式戦の勝敗は265勝52敗で、勝率は8割3分6厘。順位戦に関して言えば、49勝3敗で9割4分2厘と、考えられない勝率である。(3月10日現在)。
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